「断ったら嫌われるかも」…祖父母が抱え込んだ遠慮
ある日、恵子さんは夫にぽつりと言いました。
「私たち、孫のために暮らしているみたいね」
その言葉に、和彦さんは黙り込みました。孤独ではありません。むしろ、家族には囲まれています。それでも苦しい。
その理由は、自分たちの生活のペースが失われていたからでした。
ついに恵子さんは、長男夫婦に伝えました。
「来てくれるのは嬉しい。でも、毎週預かるのは少ししんどくなってきたの」
長男夫婦は驚いていました。
「そんなに負担だったんだ。ごめん」
それからは、孫を預かる日を事前に決め、食事代や必要な費用も長男夫婦が負担する形に変えました。小遣いも、誕生日やお年玉など特別な時だけにしました。
恵子さんは言います。
「孫に会いたくないわけじゃないんです。無理をしない形にしたかっただけなんです」
老後に家族が近くにいることは、大きな支えになります。しかし、支え合いは一方だけが我慢して成り立つものではありません。
孫に囲まれる日々は、確かに幸せでした。けれど夫婦が気づいたのは、にぎやかな老後にも、体力とお金と心の余白が必要だという現実だったのです。
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