行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】

行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人から不動産を相続した場合、相続税評価上は家屋と土地を別々の財産として評価します。なかでも「土地」はルールが多く、内容も複雑です。そこで本記事では、土地のうち「宅地」に焦点を当て、相続税における宅地評価の考え方と、実務上の注意点を税理士が解説します。

形状を理由に減額できるケース2.間口が狭小な宅地

吉田課長「他に、減額できる宅地はありますか?」

 

はい。次に紹介するのは、間口が狭小な宅地等の評価です(下記8)。

 

8.間口が狭小な宅地等(財産評価通達20−4、付表6、付表7)

間⼝が狭⼩で奥⾏が⻑⼤な宅地(不整形地及び無道路地を除く)は、財産評価通達15(奥行価格補正)から18(三方又は四方路線影響加算)までの定めにより計算した1平方メートル当たりの価額に、間口が狭小な宅地等の補正率を掛けた価額による。

 

間口狭小補正率は「間口距離」に応じた、奥⾏⻑⼤補正率は「奥行距離/間口距離」
の割合に応じた各路線価地区ごとに定められたそれぞれの割合をいう。

 

間⼝狭⼩補正率×奥⾏⻑⼤補正率=間⼝が狭⼩な宅地等の補正率

 

(例) 普通住宅地区で間口距離が4m以上6m未満の間口狭小補正率は0.94。普通住宅地区で「奥⾏距離/間⼝距離」の割合が2以上3未満の奥⾏⻑⼤補正率は0.98。この場合の間口が狭小な宅地等の補正率は、0.9212(0.94×0.98)になる。

 

宅地が長方形や正方形であっても、間口が短い・奥行が長い土地は利用効率が悪いと判断され、評価額を引き下げる仕組みになっています。

 

評価の流れとしては、

 

1.奥行価格補正などを行い、調整後の路線価を求める

2.「調整後の路線価×地積」で基礎となる価額を計算

3.その価額に「間口が狭小な宅地等の補正率」を掛けて減額

 

という手順です。間口狭小補正率と奥行長大補正率の具体的な割合は、上記8の例をご覧ください。

形状を理由に減額できるケース3.がけ地

吉田課長「私の実家の裏側は、がけで斜面になっている部分があります。この場合も減額の対象となりますか?」

 

斜面の部分も宅地の地積に含まれますが、この部分は通常の用途に使えないことが多いですよね。このような部分を「がけ地等」といいます(下記9)。がけ地がある宅地も、相続税評価額が減額されます。

 

9.がけ地等を有する宅地(財産評価通達20−5、付表8)

がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地の価額
は、次の算式により計算する。

 

がけ地等がないものとした場合の宅地の価額×がけ地補正率(注)=評価額

(注) がけ地補正率……付表8「がけ地補正率表」で定めている。この表は、がけ地の方位を「東⻄南北」の4つに区分し、「がけ地地積/総地積」の割合(がけ地割合)が、0.10以上から0.10きざみで0.90以上の9段階に区分し、それぞれのがけ地補正率を定めている。

 

(例)

1.がけ地部分の地積が50m2、がけ地でない部分の地積が150m2の場合

がけ地割合=50m2÷(150m2+50m2)=0.25

 

2.がけ地の方位が「南」でがけ地割合が0.20以上0.30未満の場合
がけ地補正率=0.92

 

「がけ地等」がある宅地は、まずがけ地がないものとして評価額を計算し、その後、がけ地補正率を掛けて減額するという仕組みになっています。

 

がけ地補正率は、前掲4の路線価地区とは関係なく、がけの方位とがけ地割合だけで決まります。具体的な補正率の見方は、上記9の例(1)(2)をご確認ください。

 

 

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