行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】

行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人から不動産を相続した場合、相続税評価上は家屋と土地を別々の財産として評価します。なかでも「土地」はルールが多く、内容も複雑です。そこで本記事では、土地のうち「宅地」に焦点を当て、相続税における宅地評価の考え方と、実務上の注意点を税理士が解説します。

宅地が道路に面していればいるほど、評価額は高くなる?

吉田課長「玄関前の道路だけじゃなく、住宅の側面や反対側(裏)にも道路がある宅地もよくありますよね」

 

はい。そのような宅地の場合は、まず最も路線価が高い道路を「正面路線」とします。そのうえで、

 

・側面の道路:その道路の路線価×側方加算率

・裏面の道路:その道路の路線価×裏面加算率

 

を正面路線価に加算し、修正後の路線価を求めます。そして、この修正後の路線価に地積を掛けることで、その宅地の評価額が算出されます。(財産評価通達16・17)。また、三方・四方が道路に接している場合も同じ考え方で計算します(通達18)。

 

このように、道路に接している数が多ければ多いほど、評価額は高くなります。

 

吉田課長「なるほど! 宅地がたくさん道路に面していれば、評価額は高くなってしまうんですね」

 

はい。ただし先述したように、評価は、路線価地区における「標準的な間口と奥行」を持つ長方形または正方形の宅地を基準に行われます。そのため、いくら宅地が道路に面していても、ご自身の宅地がこの標準形から外れて「使い勝手が悪い」と判断される場合には、各種補正が適用され、評価額が低くなります。

 

たとえば、

 

・奥行が極端に浅い/深い

・三角形・台形などの不整形地

・間口が狭い

・がけ地や高低差が大きい土地

 

などが典型例です。

形状を理由に減額できるケース1.ゆがんだ地形

吉田課長「道路からの奥行距離が標準でない場合に減額できることは理解しました。これ以外でも減額される場合があるんですね」

 

いくつかありますが、まず代表的なのが「不整形地の評価」です。下記7がその規定です。

 

7.不整形地の評価(財産評価通達20、付表4、付表5)

不整形地(三角地を含む)とは、⻑⽅形⼜は正⽅形でない⼟地をいい、次の①〜③の順
序で評価する。

 

①⻑⽅形⼜は正⽅形の近似形に修正する(複数の修正方法がある)。

②その宅地が面する路線価を奥行価格補正などの調整して、調整後の路線価を計算する。

③②の調整後の路線価に地積を掛けた金額に、不整形地補正率を掛けて評価する。

 

(例) 普通住宅地区の500m2未満の土地で、「かげ地割合」が20%以上25%未満の場合の不整形地補正率は0.94となる。

 

 

不整形地の場合、ゆがんだ地形を一度「標準的な形」に置き換えて評価するというのが基本的な考え方です。実務では、この「近似形への修正」が非常に重要で、形状に応じて複数の修正パターンがあります。

 

同時に、路線価についても奥行価格補正や複数の道路に面している場合の側方加算など、必要な調整を行います。

 

最終的には、修正後の路線価に地積を掛け、その金額に「不整形地補正率」を掛けて評価額を求めます。

 

不整形地補正率の決め方

この不整形地補正率は、次の(1)~(3)の考え方に基づき定めています。なお、上記7の(例)は、その一例を示したものです。

 

(1)路線価地区を、前掲4の「⑤普通住宅地区」と「それ以外の地区」の2つのグループに分ける(①ビル街地区・⑦大工場地区は除外)。

 

(2)対象となる土地の地積を、A・B・Cの3区分に分ける。

 

(3)上記(1)、(2)の区分ごとに、「かげ地割合」を10%以上から5%刻みで65%以上まで区分し、不整形地補正率を設定する。

 

 

次ページ形状を理由に減額できるケース、2つ目は…

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