「節約」と「支配」の線を越えた夜
限界を迎えたのは、夏の蒸し暑い日のことでした。理恵さんは仕事から帰宅し、食事の支度と片づけを終えたあと、ようやく浴室に向かいました。すると、脱衣所の前に峰子さんが立っていたといいます。
「今日はお風呂だめ。お湯、もったいないから」
聞けば、先に入った峰子さんが「まだ使えるお湯だから明日の朝まで置いておく」と決めたのだそうです。理恵さんが「汗をかいたし、今日中に入りたいです」と伝えると、峰子さんは不機嫌そうにこう返しました。
「そんなに毎日きれいにしなきゃいけないの? 贅沢よ」
その瞬間、理恵さんの中で何かが切れたといいます。
「家計を気にするのは分かります。でも、お風呂まで許可制みたいにされて、もう無理だと思いました」
理恵さんはその場で夫を呼び、「私はこのままじゃ暮らせない」と初めてはっきり伝えました。夫は最初こそ戸惑っていたものの、長男までが「毎回気をつかうの、しんどい」と口にしたことで、事態の深刻さを理解したといいます。
翌週、家族で話し合いの場を設け、生活費の分担と家のルールを見直しました。入浴や冷暖房の使用については、節約を意識しつつも「健康や衛生を損なう制限はしない」と明文化したといいます。
「義母は最初、“私が悪者なの?”と怒っていました。でも、夫が“節約と我慢の押しつけは違う”と言ってくれて、少しずつ落ち着きました」
今も気を遣う場面はあるものの、理恵さんは「あのとき言わなかったら、もっと関係が壊れていたと思う」と振り返ります。
「お金の不安があるなら、なおさら“どこまでが節約か”を家族で共有しないといけないんだと思いました」
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