「してあげたい」と「できること」のあいだで
数日後、娘から一本の電話がありました。結菜ちゃんが「あの日、おばあちゃん元気なかったよね」と気にしていたというのです。
「娘に“今の子の流行って難しいね”って笑われて、ようやく少し肩の力が抜けました。無理してついていこうとしなくてもよかったのかもしれません」
それから美代子さんは、孫との会い方を少し変えました。高い雑貨を買う代わりに、一緒に図書館へ行き、帰りに100円ショップで小さなシールを選ぶ。あるいは、家でホットケーキを焼いて、学校の話を聞く。お金をかけなくても、孫が笑ってくれる時間は案外あると気づいたのです。
「もちろん、何でも買ってあげられるおばあちゃんでいられたら、そのほうが格好いいのかもしれません。でも、私にできるのは別のことなんだと思いました」
美代子さんは、祖母としての自分像と年金生活の現実のあいだで、どう振る舞えばいいのか分からなくなっていたのです。
高齢期の家計は、数字だけでは語れません。美代子さんが握りしめていた小遣いは、単なる現金ではなく、祖母としての気持ちそのものだったのかもしれません。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
