被害額1,100億円超…データが示す〈固定電話〉から始まる詐欺の実態
警察庁が公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」のデータから、ミツルさんのような高齢者を狙った詐欺の最新動向が明らかになっています。
データによれば、特殊詐欺のなかでも「オレオレ詐欺」の被害が爆発的に増加しています。令和7年のオレオレ詐欺の認知件数は1万4,393件にのぼり、前年比で急増しました。被害額も1,121億円を超えており、社会全体に深刻なダメージを与えています。
近年、携帯電話を入り口としたオレオレ詐欺が20代などの若い世代にも急増していますが、ミツルさんのような60代以上の高齢者に限ると、依然として「固定電話」への着信から被害に遭うケースが圧倒的多数を占めています。
犯行グループは、自宅の固定電話に出た高齢者に対し、家庭を築き上げた責任感やこどもへの愛情の強さに巧妙につけ込みます。自宅という閉鎖空間で「誰にもいわないでくれ」と電話越しに指示を出し続けることで、被害者を物理的にも心理的にも完全に孤立させる手口が見て取れます。
高齢者が老後のために築き上げてきた大切な資産が、安心できるはずの自宅の固定電話を通じて、奪い取られてしまう詐欺の恐ろしい実態が現代にはびこっています。
ミツルさんのような悲劇を未然に防ぐためには、「自分は騙されない」という過信を捨て、物理的な対策を講じることが不可欠です。
具体的には、「見知らぬ電話番号には出ない」「着信があった番号をネットで検索し、発信元を把握する」「知らない番号で家族を名乗られた場合はいったん電話を切り、“本当の電話番号”にかけ直して事実確認をする」といった行動が有効です。
犯人の巧妙な話術に飲み込まれないための防御法は、「電話越しの相手」を疑う勇気を持つことです。築き上げてきた大切な資産や家族を犯罪から守るためにも、今日からこれらの対策を心がけてみてください。
[参考資料]
警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
