息子の未来を守るために老後資金900万円を振り込む
正月に孫の顔を見るのを楽しみにしていたミツルさんは、息子が犯罪者になってしまうという恐怖でパニックに陥りました。
男からは「会社の上司にも迷惑をかけているから、絶対に他の人にはいわないでほしい。銀行の窓口で理由を聞かれたら『実家の修理代だ』と答えて」と巧妙に指示され、ミツルさんは誰にも相談できない状況に追い込まれていました。
老後資金を失うことに葛藤しながらも、ミツルさんは息子の未来を守るため、震える足で付き合いのある金融機関へ向かいました。窓口で不審に思われないよう必死に嘘をつき、定期預金を解約。男の指示通り、指定された口座へ900万円を振り込んでしまったのです。
「なんのこと?」息子のひと言で、取り返しのつかない事実が発覚
振り込みの手続きを終え、自宅に戻ったミツルさんは安堵に包まれました。
「これで息子は助かる」と思い、報告のために“いつもの息子の携帯番号”へ電話をかけました。
「ああ、父さん? どうしたの?」
「お金、無事に振り込んだぞ。会社の方は大丈夫なのか? というか携帯も普通につながるじゃないか」
「なんのこと? てか、えっ、お金振り込んだってどういうこと?」
電話口の息子の声は、ひどく間の抜けたものでした。その瞬間、ミツルさんの頭は真っ白になりました。
「嘘だろ……。俺の老後資金900万円が……」
ミツルさんはようやく騙されていることに気がつきました。しかし、すべてが手遅れだったのです。
