「来てくれるのは嬉しいけど」…孫への小遣いが重荷になった日
一人暮らしをする和枝さん(仮名・74歳)は、月13万円ほどの年金で暮らしています。
夫を亡くしてからは、築古の持ち家で一人暮らし。家賃はかかりませんが、固定資産税や医療費、光熱費、家の修繕費などを考えると、生活に余裕があるわけではありません。
「贅沢はしていないんです。外食もしないし、服もほとんど買わない。でも、毎月ぎりぎりでした」
そんな和枝さんの楽しみは、近くに住む長女の子ども、11歳の孫・悠真くん(仮名)が遊びに来ることでした。
小学校低学年のころは、長女に連れられて来ることが多かった悠真くんも、最近は一人で祖母の家まで来られるようになりました。
「ばあば、来たよ」
玄関先でそう言われるたび、和枝さんは胸が温かくなったといいます。
以前は、悠真くんが来るたびに1万円を渡していました。
「何か好きなものを買いなさい」
最初は誕生日やお正月だけだった小遣いが、いつの間にか、遊びに来た日の“習慣”のようになっていったのです。
「孫が喜ぶ顔を見るのが嬉しくて。自分の食費を少し削っても、渡したいと思っていました」
しかし、物価上昇や医療費の負担が重なり、和枝さんの家計は徐々に厳しくなっていきました。
総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円である一方、消費支出は月14万8,445円となっており、平均では毎月赤字です。年金だけで一人暮らしを維持することは、決して簡単ではありません。
和枝さんの年金月13万円も、平均的な消費支出を下回る水準でした。
ある月、通帳の残高を確認した和枝さんは、小さく息をのみました。
「もう、余裕がない……」
