「全額回収」の大逆転、絶望的な状況を覆した〈まさかの展開〉
滞納金も弁護士費用もすべて管理組合の持ち出しになってしまうのか。絶望的な空気が漂うなか、事態は思わぬ展開を見せます。
このマンションでは任意売却の手続きが進められ、管理組合は滞納していた管理費等に加えて、相続人調査にかかった弁護士費用23万円、さらには遅延損害金までも全額回収することができたのです。
一体なぜ、親族全員が相続放棄をした状況から一転、資金を回収するに至ったのでしょうか。
【専門家が解説】泣き寝入りを防ぐ唯一の回収ルート「相続財産清算人への債権届け出」
相続が発生すると、故人の銀行口座は凍結されるため、当然ながら管理費や修繕積立金の引き落としは止まります。相続放棄は原則として、被相続人の死亡を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述書を提出する必要があり、その間も滞納金は雪だるま式に膨らんでいきます。
親族全員が相続放棄をした場合、残された唯一の回収ルートが「相続財産清算人への債権届け出」です。
相続財産清算人とは、相続人がいない(または全員が放棄して不明な)状態で遺産を管理し、債権者への支払いを行い、最終的にマンションを売却して財産を清算する役割を担う人のことです。清算後の残余財産は、最終的に国庫へ引き継がれます。
Aさんの事例では、市役所がすでに相続財産清算人を選任していましたが、もし誰も選任していない場合は、管理組合が速やかに家庭裁判所へ選任申立てを行う必要があります。
この申立て手続きには通常50万〜100万円程度の費用(予納金)がかかり、一時的に管理組合の会計から支出することになります。しかし、相続財産清算人がマンションを売却した代金のなかから、滞納管理費や立て替えた予納金などは原則として管理組合に支払われます。
