近年、築古マンションで独居高齢者の「孤独死」が深刻な社会問題となっています。ある事例では70代住人が急死し、遺族が40万円もの特殊清掃費を負担する事態に。さらに別のマンションでは「区分所有法」の壁により管理組合が異変を察知しても室内に立ち入れず、被害が拡大する事例も。住民の命と建物の資産価値を守るため、管理組合に求められる「標準管理規約改正」の重要性を、マンション管理士の松本洋氏が解説します。
宅配弁当が3食分そのまま…発覚した「孤独死」
「毎日、〇〇号室のAさんに宅食を届けているのですが、食べた形跡がなく、3食分の弁当がそのまま残っています」
埼玉県の築古マンションの理事長のもとに、宅配弁当業者から一本の電話が入りました。
Aさんは、70代の独居高齢者。1週間前には元気に散歩していたはずの住人です。
理事長は不審に思って、管理員と一緒にAさんの部屋のインターフォンを押したり、玄関ドアを叩いたりしてみますが、まったく反応がありません。警察にも通報し、室内確認をした結果、Aさんはこたつのなかで亡くなっていたのです。
幸いにも、Aさんは居住者名簿の緊急連絡先に妹さんの名前を記載していたため、管理組合はすぐに連絡を取ることができました。その後、妹さんの手配により、遺体の痕跡や強い腐敗臭などを専門の技術と薬剤で除去する「特殊清掃」が行われました。
元の状態に近づけるための清掃費用は約40万円かかり、妹さんが負担しました。
松本マンション管理士事務所 代表
東京都マンション管理士会城東支部 事務局長
マンション管理士
1954年、東京都目黒区生まれ。
不動産会社、商社系マンション管理会社に勤務。
2005年、マンション管理士事務所を開業。
管理業務主任者、宅地建物取引士、測量士補などの資格を所持。著書に『買ったときより高く売れるマンション』(アーク出版)などがある。
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連載【マンション管理士監修】事例で学ぶ「マンショントラブル大全」