「相続税が500万円浮くなら…」甘い言葉に飛びついた45歳男性、10歳の息子と遺産を争う“まさかの展開”に…悲劇を生んだ〈1枚の届け出〉【司法書士が「養子縁組」の注意点を解説】

「相続税が500万円浮くなら…」甘い言葉に飛びついた45歳男性、10歳の息子と遺産を争う“まさかの展開”に…悲劇を生んだ〈1枚の届け出〉【司法書士が「養子縁組」の注意点を解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「総資産1億円超」のサラリーマン家庭に突きつけられた、約1,100万円の相続税。少しでも家族に財産を残そうと、45歳の長男は「10歳の息子を78歳祖父の養子にする」という節税策に飛びつきました。約500万円もの節税になるはずが、数年後に祖父が急逝すると事態は一変。まさかの「実の息子と遺産を取り合う」展開が待っていました。「紙1枚の手続き」が招いた、恐ろしい法的リスクとは?司法書士が「養子縁組」の注意点を解説します。

「出口戦略」なき節税対策の代償

雅宏さん一家が、最終的にどれほどの時間と費用を費やし、精神的にも大変な状況に陥ったかは想像に難くないでしょう。

 

さらに、親権が移る弊害は「相続時(出口)」だけにとどまりません。祖父の存命中であっても、孫名義の銀行口座開設やパスポートの申請など、未成年者の親権者の同意が必要な場面では、実の親ではなく「親権者である祖父」の署名が求められるという日常的な不便も強いられます。

 

また、過去の裁判例によれば、相続税の減額だけを目的にした養子縁組が直ちに無効というわけではありませんが、状況によっては租税回避行為として税務署に否認されるリスクがまったくないわけではありません。

 

「税金が安くなる」という入り口の甘い言葉には、誰もが飛びつきたくなります。しかし、その先にある「出口(法的結末)」までしっかり見通しをつけておくことが大切です。

 

「節税できた金額」と「失った家族の自由」。その収支決算がプラスになるかどうか、未成年の孫を養子縁組する場合は、ハンコを押す前にもう一度考える必要があります。

 

 

市山 智

司法書士/行政書士/AFP(日本FP協会認定)

 

※本記事は、筆者の経験に基づき、守秘義務の観点から事例を一部修正・変更して作成しています。また、本記事で紹介した対策は一例であり、個別の状況や資産内容等によって最適な判断・選択は異なります。金融機関ごとの具体的な手続き方法については各窓口へ、ご家庭に合った対策の選び方については専門家へ、それぞれご相談されることをおすすめします。

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