一般媒介で複数の不動産会社に依頼していれば・・・
前回に引き続き、不動産業者の説得の流れを見ていきます。
[図表]不動産業者の説得の流れ
一般媒介で複数の不動産業者に媒介を依頼している場合は、まだ管理委託の場合よりも定期借家契約の導入はしやすいです。この場合は1社ずつ業者を訪問して話をしていくことになります。
一番肝心な④の説得ですが、まず定期借家契約を導入したいという旨を伝え、なぜ導入したいのかという理由を話します。このときに重要なことは、変にごまかさず、率直に話すことです。また、ここでは自分だけのメリットを話さないことです。「良好な住環境の維持」という言葉をもって、借主にとってメリットがあるものであるということを熱意を込めて話すことです。
先方が承諾しない場合は、無理をせず他の業者をあたります。承諾すれば、⑤の相談に入ります。募集図面やポータルサイトにどのように表示するかなどを次のポイントを参考にしながら打ち合わせをしてください。
募集図面には「再契約型」か「終了型」かの明示を
<募集図面への表示>
ただ単に「定期借家契約」という表示のみではなく、「再契約型」なのか「終了型」なのかを明確に表示してください。「契約期間」も一緒に明示します。そして定期借家契約とはどういうものかや借主側のメリットなどを簡単な文章にまとめて記載できればベストでしょう。図表の表示例を参考にしてください。
<ポータルサイトへの表示>
ホームズ、スーモ、アットホームの3大サイトには、定期借家契約のチェック欄がありますが、その表示が現在のところ十分ではありません。ただ単に当該物件が定期借家契約か否かという表示しかできないようになっているのです。したがって、先の募集図面への表示と同様に「再契約型」なのか「終了型」なのかという旨を備考欄などで補足すると良いでしょう。
<定期借家契約の場合の家賃設定>
これは普通借家契約と比較した場合に検討するものとして、次の2つを基準に考えると良いでしょう。
1、契約期間の長短
2、再契約の有無
普通借家契約の場合の契約期間は一般的には2年間が多いです。したがって、2年未満の契約期間ではお客様にはデメリットと映るでしょう。2年間か、それよりも長い場合は家賃値下げの要因とはなりにくいということになります。
再契約の有無は、お客様に与える価値に大きな差が出てくるため、家賃設定は変わってきます。つまり、「終了型」では契約期間によりますが、お客様は価値を見出しにくいということです。したがって、その分が家賃の減額要因になります。一方で「再契約型」であれば、普通借家契約と比べて家賃を減額する必要はありません。