今回は、定期借家契約の活用において、管理委託をする不動産業者との接し方について見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役、沖野元氏、不動産コンサルタント、林浩一氏の共著『賃貸の新しい夜明け』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、定期借家契約のメリットと定期借家契約を実際に活用する際のポイントを紹介します。

慣れない業者との契約は、入念な書類チェックを

不動産業者が間に入るからといって、大家さんは安心していれば良いというものではありません。定期借家契約についてはそれに慣れている業者と慣れていない業者とに分かれます。

 

また、いい加減な業者もいます。いざ裁判になったときに定期借家契約の成立要件を満たしていなかったということほど怖いことはありません。ですから、大家さんも慣れていない業者に任せる場合は、とくにそれぞれの書面を事前に送ってもらい、その内容をチェックする必要があります。事前説明書面、重要事項説明書、契約書はそれぞれ本書『賃貸の新しい夜明け』の巻末資料をご覧になって、それらと比較してご確認ください。

 

 

なお、定期借家契約をしたいという場合に、抵抗する業者は避けたほうが良いでしょう。「多少難しいが、やってみましょう」という前向きに取り組んでくれる業者に頼むようにします。

契約期間が1年以上の場合には、終了通知が必要

不動産業者に管理委託している場合は、終了通知は業者が送ることになります。ただ大家さんにもその写しは送ってもらうようにしたほうが良いでしょう。

 

自主管理の場合は、自分で終了通知の送付時期を管理しておく必要があります。この終了通知発送時期について、ここで確認しておきましょう。繰り返しになりますが、1年未満の定期借家契約では、終了通知は必要ありません。1年以上の場合に必要となり、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に終了通知を送らなければならないことになっています。

 

ただ、ぎりぎりに送ってはダメだということはなんとなくおわかりになるでしょう。たとえば、次のようなケースではいつ送るかということになります。

 

大家Aは借主Bと平成27年4月1日から平成29年3月31日までの2年間の定期借家契約を締結したとします。この場合大家Aは、平成28年4月1日から平成28年9月30日までの間に終了通知を送らなければなりません。

 

 

送るというのは、先方に到達していなければならないと解釈してください。そうすると、郵送では数日かかることは必至なので、ぎりぎりだとダメだということになります。終了通知は余裕を持って出すようにしましょう。ちなみに私の会社では8ヶ月前に出すようにしています。

本連載は、2015年8月刊行の書籍『賃貸の新しい夜明け』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸の新しい夜明け

賃貸の新しい夜明け

沖野 元,林 浩一

週刊住宅新聞社

長らく旧態依然としていたこの不動産業界にも、大きな波が来ています。人々のライフスタイルの変化による波が、住まい方の変化にも及んできています。 こうした時代の変化に、不動産業者も大家さんもついていくしかありません…

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