今回は、定期借家の再契約における敷金・原状回復の取扱いについて見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役、沖野元氏、不動産コンサルタント、林浩一氏の共著『賃貸の新しい夜明け』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、定期借家契約のメリットと定期借家契約を実際に活用する際のポイントを紹介します。
敷金、明渡し期日とその通知に関する約款
本書『賃貸の新しい夜明け』巻末の資料集にある国土交通省作成の定期借家契約では、再契約における敷金の取扱いについて下記のようにされています。
ここでいう第13条とは、明渡し期日とその通知に関するものです。また、後半の第6条第3項とは、敷金に関する内容で、下記のようにされています。
原状回復義務は再契約後も引き継がれる
つまり、再契約の場合に敷金は明渡しがあったものとして返還する必要があるとなっています。しかし、そこで敷金を返還しても、再契約でまた敷金を預けてもらうことになりますので、実務上はそのままということになります。ただし、再契約において家賃の増減があれば、敷金もそれに合わせて増額分を預け入れてもらうか、または減額分を返還することになります。
再契約における原状回復の取扱いについても、先ほどの第17条第2項を再度ご覧ください。原状回復義務は再契約後に引き継がれるということになります。なお、これらの再契約における敷金・原状回復の取扱いは、特約として記載する条項です。
株式会社リーシングジャパン
代表取締役
広島県出身。日本大学経済学部卒。教育産業、貿易業等に従事した後、大手不動産会社入社。その後、渋谷の不動産会社へ転職。平成21年、株式会社リーシングジャパン設立と同時に代表取締役に就任。賃貸・売買仲介、中古物件再生事業、管理を中心に、客付けに特化したリーシングコンサルタントとしても活動。また、一般財団法人日本不動産コミュニティ(J‐REC)の監修する不動産実務検定の人気講師として、これまでに多数の受講生を輩出。平成26年7月よりJ‐REC東京第2支部の支部長を務める。講演・執筆多数。
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連載不動産オーナーとして知っておきたい「定期借家契約」のメリット
賃貸UP‐DATE実行委員会 代表
不動産コンサルタント
昭和35年、神奈川県横浜市生まれ。高校卒業後アメリカ・ロサンゼルス Pacific States University留学~獨協大学中退。長年、海外旅行業界の仕事に従事し、主に東南アジアの都市や当時まだ馴染みの薄かったタイのサムイ島・フィリピンのセブ島。ボラカイ島などへのツアーを大手ホールセラーと共同企画。多くのヒット商品を出す。また、ダイヤモンドホテルのフロント業務なども経験する。
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