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なぜ「回帰不連続デザイン」が使われたのか
補助金の効果を測るうえで最大の問題は、「もともと優秀な企業が補助金を受けているだけではないか」という点です。
補助金を受けた企業の業績が良くても、それが補助金の効果なのか、元々の実力なのかは区別がつきません。
そこで使われたのが、回帰不連続デザイン(Regression Discontinuity Design:RDD)という統計手法です。統計学の世界では、非常に信頼性の高い因果推論の方法として知られています。
採択ライン付近に注目する発想
ものづくり補助金では、申請時に提出した事業計画書が審査され、点数が付けられます。そして、一定の点数を超えた企業が採択され、補助金を受け取ります。
たとえば70点が合格ラインの場合、69点の企業と70点の企業に大きな実力差は考えにくいでしょう。しかし結果としては、一方は数百万円〜1千万円の補助金を受け取り、もう一方は何も受け取れません。この「ほぼ同条件の企業同士」を比較することで、補助金そのものの効果を測定するのがRDDの考え方です。
ファジーRDDによる現実的分析
実際の制度運用では、点数だけで機械的に採択が決まるわけではありません。合格ライン付近では、政策的判断により繰り上げ採択が行われることもあります。
そのため、この研究では「ファジーRDD」と呼ばれる、完全に白黒が分かれない現実を考慮した手法が用いられました。制度の実態に即した、より信頼性の高い分析が可能になっています。
膨大な公的統計データを用いた本格分析
この研究の特徴は、データの質の高さです。補助金の申請データを、経済産業省の工業統計調査や経済センサスなどの公的統計データと結び付け、企業単位で分析しています。
自己申告アンケートではなく公式統計を使用することで、「なんとなく良くなった」という主観的評価ではなく、実際の数字で効果を測定しています。
補助金の効果を測る指標
分析には、以下の指標が用いられました。
・従業員数
・有形固定資産
・付加価値額
・一人当たり付加価値(労働生産性)
特に重要なのは付加価値と労働生産性です。会社の規模だけでなく、「どれだけ価値を生み出せる企業になったのか」が問われます。中小企業政策の成果を測るうえで、非常に重要な視点です。
分析結果:補助金の明確な効果は確認できなかった
肝心の分析結果ですが、結論は衝撃的でした。どの指標においても、採択された企業と採択されなかった企業の間に、統計的に有意な差は確認されませんでした。
つまり、「補助金があったから企業が成長した」とは言えない、という結果です。
厳密には「効果が完全にゼロ」と断定できるわけではありません。しかし少なくとも、「効果があると自信を持って言える証拠」は見つかりませんでした。数千億円規模の予算が投じられている政策として、この結果は非常に重く受け止めるべきでしょう。
まとめ:今後の中小企業支援政策に求められるもの
今回の研究は、ものづくり補助金に対して冷静で厳しい視点を提供しています。補助金そのものを否定するのではなく、「本当に生産性向上につながる設計になっているのか」を問い直す必要がある、という示唆です。
今後の政策には、より実効性の高い支援策と、データに基づく継続的な検証が求められるでしょう。中小企業の成長を本気で支援するために、こうした研究結果を無視することはできません。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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