(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁『令和6年分 民間給与実態統計調査』によると、給与所得者の平均給与は478万円。現役期の収入が平均より高くても、「思ったほど貯まっていない」と感じる家庭は少なくありません。住宅費や教育費、親世代への支援、突発的な支出などが重なり、家計の実態は見えにくくなりがちです。特に家計管理を一方に任せきりの家庭では、収支や資産状況が共有されないまま年月が過ぎ、定年を前に初めて現実に向き合うケースもあります。

「数字を見た瞬間はショックだった。でも…」

年収が平均より高くても、家計が必ずしも潤沢になるわけではありません。支出は住宅、教育、親の支援、突発的な修繕費などで膨らみます。「収入がある=自然に貯まる」わけではありません。

 

弘志さん夫妻の問題は、支出の多さそのものよりも、「家計の情報が共有されていなかったこと」でした。小遣い制の家庭では、管理する側は“家計を回す責任”を背負い込みやすく、管理される側は“状況を知らないまま不満だけが積み上がる”構図になりがちです。

 

その夜、弘志さんは怒りよりも不安が勝ったといいます。

 

「このままだと老後が見えない」

 

夫妻は翌週、家計の全体像を整理することにしました。口座は一覧化し、引き落としの固定費を洗い出し、借入れがあれば条件を確認する。退職後に必要な生活費をざっくり試算し、足りない分は「いつまで働くか」「どこを削るか」を二人で決める——。

 

家計の真相は、決して気持ちのいいものではありませんでした。それでも弘志さんはこう言います。

 

「数字を見た瞬間はショックだった。でも、やっと同じ地図を見られた気がした」

 

収入の多寡ではなく、家計の透明性が老後の安心をつくる。弘志さんが直面したのは、まさにその現実でした。

 

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