「もう、1円も余裕がないの!」〈年収950万円〉60歳女性の人生を崩壊させた母の在宅介護。共に支えた父まで倒れて直面する“口座凍結”の恐怖

「もう、1円も余裕がないの!」〈年収950万円〉60歳女性の人生を崩壊させた母の在宅介護。共に支えた父まで倒れて直面する“口座凍結”の恐怖
(※写真はイメージです/PIXTA)

よかれと思って選んだ在宅介護が人生を崩壊させた――そんな残酷な現実に直面した渡辺さん(仮名・60歳)。高年収だった姉弟が介護のためにキャリアを失い、さらには父の認知症によって「資産凍結」の危機が迫るなど、優しさだけでは解決できない経済的損失の連鎖。本記事では、介護は「愛」ではなく「資金計画」で捉えるべきだという、その重要性が浮き彫りになった事例を紹介します。

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    在宅介護が抱える深刻な課題

    明美さんの事例は、決して特殊な悲劇ではありません。現在の日本において、在宅介護が抱える構造的なリスクは、公的なデータからも浮かび上がっています。

     

    厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によれば、同居する家族が主な介護者となっている世帯のうち、介護時間が「ほとんど終日」である割合は全体平均で19.0%にのぼります。特に、身体介助の負担が重くなる「要介護3」の世帯では31.9%、つまり約3世帯に1世帯が24時間休まる暇のない過酷な状況にあることが、国の統計からも裏付けられています。

     

    明美さんの事例のように、限界まで在宅介護を続けた結果、介護者側が病気を発症することは、単なる疲労を超えた「世帯全体の労働力と資産の喪失」に直結する深刻な課題といえます。

     

    また、金融庁の金融審議会(2024年)による提言などによると、認知症高齢者が保有する金融資産は増加を続けており、本人の意思確認ができなくなることによる「資産凍結」のリスクを回避するための、金融機関への「代理人指名」や「家族信託」の活用が急務であるという実態があります。

     

    父のように受診を拒否し、「要介護認定」の手続きを怠ることは危険です。いざ介護費用が必要になった際に親の預金が引き出せず、結果として子供世代が自分たちの老後資金を切り崩して立替を余儀なくされる「共倒れ」のリスクを最大化させている点は、多死社会における致命的な課題といえるでしょう。
     

     

    [参考資料]

    厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」

    金融庁「金融審議会 資産運用に関するタスクフォース報告書(2024年)」

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