「母国の受験戦争が辛くて」「日本語ができなくても心配は少ない」 すでに全校生徒の半数を占める…千葉の過疎地域にある、学費年200万円の私立高に“中国人留学生”が殺到するワケ

「母国の受験戦争が辛くて」「日本語ができなくても心配は少ない」 すでに全校生徒の半数を占める…千葉の過疎地域にある、学費年200万円の私立高に“中国人留学生”が殺到するワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の地方教育機関において、中国人留学生の受け入れが経営や地域維持の重要な手段となっている。千葉県の鴨川令徳高校では、全校生徒の約半数を中国人留学生が占め、高額な学費収入によって学校経営を維持。北海道の東川日本語学校では、公費で学費などを補助することで留学生を呼び込み、地域の労働力不足を補っている。また、スポーツ強豪校である山梨学院高校でも、中国人スタッフによる募集を強化し、留学生の最大勢力は中国人となった。本記事では、日本経済新聞取材班『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より、少子化に直面する日本の学校側と、日本での定住を目的とする中国側、双方の利害が一致している現状を明らかにしていく。※登場する取材協力者の肩書や年齢は取材当時のものです。

スポーツ強豪校にも中国人留学生が続々と

第95回選抜高校野球大会優勝、第99回全国サッカー選手権大会優勝――。

 

JR東京駅から中央線に乗って約2時間。甲府駅で乗り換え、中央本線で1駅。JR酒折駅から10分ほどの距離を歩くと、スポーツの強豪校として知られる私立・山梨学院高校が見えてくる。

 

正門に近づくと、「祝 甲子園優勝おめでとう」「祝 花園出場 ラグビーフットボール部」などと書かれた複数の大きな垂れ幕が来訪者の目を引く。

 

地方にありながら、生徒数約1200人(2024年5月1日現在)に上るマンモス校。スポーツ強豪校として山梨県外からの入学者も多く、生徒数は15年前に比べ、3割強も増えた。少子化、地方というハンディをものともしない、まさに経営的にも実力校だと言っていい。

 

そんな同校も最近、中国人留学生の受け入れを本格的に始め、積極的になっているという。なぜなのか。「系列の山梨学院大学が、中国との交流を深めていることがあり、当校の留学生にも中国の生徒を対象に加えました」と、同校の吉田正校長は説明する。

 

2016年度に初めて4人の中国人留学生を受け入れたのをスタートに、その後も毎年数人程度を受け入れてきた。本格化したのは2021年頃から。学校側は、バイリンガルの中国人スタッフを雇い、年間20人の中国人留学生の受け入れを目指し、体制を整えた。

 

さらに中国人スタッフが中国現地の学校を回って宣伝し、吉田校長自身も2019年、中国を自ら訪問して学校をPRした。学費は年間約100万円。これとは別に寮費もかかるが、今では中国人留学生を年間30人以上受け入れるまでになっている。

 

留学生がいることの日本人生徒にとってのメリットと懸念

どんな生徒が入学してくるのか。

 

「日本の大学に進学し、そのまま日本で就職することを目指す学生です」。吉田校長はそう言い切った。授業は日本人生徒と一緒に受けているという。

 

スポーツ強豪校の同校には、ケニア、フィジー、トンガ、ニュージーランド、ウガンダなどからの「スポーツ留学生」がもともと多かった。だが今ではスポーツとは全く無関係の中国人留学生が人数では最多となった。将来的に中国人留学生をどこまで増やそうとしているのか。

 

「学校に留学生がいるのは日本人生徒にとっても良い環境です。今、学校で学ぶ日本の高校生が40代になる頃には、勤務先の会社には、より多くの外国人がいる環境が当たり前になるでしょう。高校生のうちから、外国人と日常的に接しておくのは非常に良い経験になると思います」

 

吉田校長はそう話した。

 

ただ一方で「今後、中国人の志願者がさらに増えれば、受け入れ人数を増やすことも視野に入れますが、うちは日本の学校ですから……。その辺の伝統は大事にしていきたいと考えています」と、慎重に語った。

 

 

日本経済新聞取材班

 

 

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※本連載は、日本経済新聞取材班による著書『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

日本経済新聞取材班

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豊富なデータ分析・実名報道で移民問題に光を当てるノンフィクション! 第2回国際文化会館ジャーナリズム大賞受賞連載をもとに書き下ろし。 「我々は日本の中に今、広がる「中国」を可視化することにした。中国人のコミュ…

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