「正直、どうやってこれ以上、接していけば良いのか分からない」「日本語が十分に理解できない児童が…」文京区名門“公立”小学校教師の本音、現場で起きている異常事態

「正直、どうやってこれ以上、接していけば良いのか分からない」「日本語が十分に理解できない児童が…」文京区名門“公立”小学校教師の本音、現場で起きている異常事態
(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都文京区では、近年「教育移住」を目的に来日する中国人家庭が急増している。区内の公立小学校では中国籍を中心に外国籍の児童が2019年比で2.4倍の467人に膨らみ、名門校として知られる「3S1K」には入学希望が殺到。大手進学塾SAPIXでも、茗荷谷校や豊洲校で生徒の1割を中国人が占めるまでになった。なぜ今、中国人家庭は日本、とりわけ文京区へと移り住むのか。日本経済新聞取材班『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より、急拡大する中国人家庭の「教育移住」について、データと現場の証言をもとにみていく。※登場する取材協力者の肩書や年齢は取材当時のものです。

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教育熱心な中国人が熱視線を送る文京区・名門小「3S1K」

子供に日本の教育を受けさせたいと願う、中国人が増えている。そのためには、家族で日本に移住することもいとわない。「教育移住」の連鎖が今、止まらない。

 

「みなさん、東京都文京区の名門小学校『3S1K』は、ご存じでしょうか? 子供を3S1Kに入学させるため、今の古い家を売って、東京の文京区に引っ越す家庭も少なくありませんよ」――。「文京区には、あの東京大学があり、将来、入学させたい親御さんたちが住んでいます」――。

 

中国で月間3億人が利用する、人気SNS「小紅書(RED)」。そのSNS上には、こんな日本への移住、教育関連情報が当たり前のように飛び交う。

 

話題の名門小学校「3S1K」とは、文京区にある誠之[せいし]、千駄木、昭和、窪町[くぼまち]の4つの公立小学校を指し、教育熱心な中国人の間で高い注目を集める。

公立小なのになぜ?…文京区への「教育移住」、5年間で1.5倍

実際、3S1Kへの入学や、良好な教育環境などを求め、文京区に移り住む外国人家庭が近年増加している。小学生の数でみると、中国籍を中心に2024年には2019年比で2.4倍と急増し、467人に膨らんだ。同区に住む中国人全体でみても、2024年時点で、2019年比1.5倍の8169人に増えている。

 

こうした現状を文京区の学校側は、どう受け止めているのか。東京ドームにほど近い文京区教育委員会を訪ねると、良い印象を持ってはいないようだった。「(中国の)SNS上で話題が先行してしまっており、(3S1Kの)話が実態以上にどんどん大きくなってしまっています」

 

文京区教育委員会の高橋拓也統括指導主事も、戸惑いを隠せない。

 

「(3S1Kの公立小学校を)『名門校』という形で、プラスに評価してもらえるのは良いことなのですが、(3S1Kと呼ばれる)4校はいずれも公立の小学校です。使う教科書や机も、区内の他の小学校とすべて同じです。教員も当然、定期異動をします。だから、区内なら、どこの小学校で学んでも(差はなく)同じ教育環境で学べます」と話す。

 

それでも中国人の間で3S1Kの人気は衰えない。結果、日本語が十分に理解できない中国籍の児童が文京区で着実に増えており、教育現場では日中の翻訳機や日本語指導協力員を配置し、対応を取る状況にある。

 

ただ、数には限りがある。現場の教師からは「正直、どうやってこれ以上、(中国人児童と)接していけば良いのか分からない」といった本音も漏れ聞こえてくる。

 

次ページ中国SNS上にアップされる「名門小学校」リスト

※本連載は、日本経済新聞取材班による著書『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

日本経済新聞取材班

KADOKAWA

豊富なデータ分析・実名報道で移民問題に光を当てるノンフィクション! 第2回国際文化会館ジャーナリズム大賞受賞連載をもとに書き下ろし。 「我々は日本の中に今、広がる「中国」を可視化することにした。中国人のコミュ…

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