相続した〈形状に難あり〉の土地、相続税額が高すぎる…専門家の“証拠”を用意して税務署と真っ向勝負も、裁決で相続人が“ボロ負け”したワケ【税理士が解説】

相続した〈形状に難あり〉の土地、相続税額が高すぎる…専門家の“証拠”を用意して税務署と真っ向勝負も、裁決で相続人が“ボロ負け”したワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

親などから不動産を相続した場合、通常は国税庁が定める「財産評価基本通達(評価通達)」に基づいて不動産の価値が算定され、その評価額をもとに相続税額が決まります。評価額が高くなるほど相続税も増えるため、納税者としては「実際の不動産の価値は通達による評価額より低いのではないか」と感じ、評価額に不満を抱くこともあるでしょう。そこで本記事では、実際に相続人と税務署が争った裁決事例をもとに、不動産評価をめぐる「評価通達」と「鑑定評価」の関係、および相続税申告における注意点についてみていきましょう。

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審判所は、不動産の“実情”が「特別な事情」にあたらないと判断

国税不服審判所はまず、「財産評価基本通達は、通達そのものが合理性を欠く場合、あるいは評価結果が著しく実態を逸脱している場合など、極めて限定的な状況でのみ適用を外れることが認められる」と整理。

 

そのうえで、相続人が挙げた需給状況や道路条件などは、通達評価が想定する範囲内のものであり、「特別の事情」にはあたらないと結論づけました。

 

また、鑑定評価書についても客観性や信頼性に欠けると評価。相続人の主張は、単に通達評価よりも低額な鑑定額を提示するにとどまっており、通達評価を覆すだけの「合理的理由」が示されたとはいえないと判断されました。

 

今回の裁決事例は、「通達評価は原則であり、鑑定評価は例外である」という制度の骨格を再確認させるものでした。

 

評価通達による土地の評価について違和感を覚えることは少なくありません。最近では総則6項適用の是非が争われることも多いですが、単なる違和感だけで通達評価を否定することはできません。

 

通達評価に対して鑑定評価を用いるには、「実態に即していないと誰が見ても明らか」といえるような客観的証拠と説明力を備えた鑑定書が必要です。

 

納税者としては、納得感を求めて鑑定評価に頼りたくなる場面もあるかもしれませんが、評価通達の位置づけや重要性をしっかりと把握したうえで、評価通達によらない評価を認めるべき「特別の事情」が認められるものであるかを冷静に見極める必要があるでしょう。

 

 

高橋 創

税理士

 

 

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