日本の「財政不安」による円安は〈利上げ〉でも〈為替介入〉でも止められない…最悪の場合「ノーコントロール円安」の可能性も【今月の予想レンジ〈150~160円〉の根拠】

1月6日~1月12日の「FX投資戦略」ポイント

日本の「財政不安」による円安は〈利上げ〉でも〈為替介入〉でも止められない…最悪の場合「ノーコントロール円安」の可能性も【今月の予想レンジ〈150~160円〉の根拠】
(※画像はイメージです/PIXTA)

2025年12月19日、日銀は「金融政策決定会合」で追加利上げを決定し、政策金利は30年ぶりの水準となる0.75%となりました。しかし、1ドル=157円まで円安が進行し、この背景には日本の「財政不安」があると考えられます。行き過ぎた為替変動に対して片山財務相は「断固として措置をとる」と発言するなど市場の警戒感が強まるなか、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏は「このままではノーコントロール円安に陥る可能性もある」と指摘します。その根拠と1月の予想レンジ、考えられる相場展開について、本記事で詳しくみていきましょう。

1月は円・米ドルともに「暴落」リスクに警戒

円安が止まる条件は日本の「財政不安」の払拭

今回の円安が、金利差の変化とは関係なく、日本の財政リスクへの懸念から長期金利が上昇し、債券価格が下落したことを背景に進んでいるのであれば、円安が止まる条件のひとつは、こうした財政不安への懸念が払拭されることにあります。

 

しかし前述のとおり、高市政権が決定した来年度予算案については、「責任の視点欠く過去最大の予算案」(2025年12月27日付・日経新聞社説)など批判的な見方が多く、懸念が払拭されたとはいえない状況です。そのため、円安はこの1月も続く可能性がありそうです。

 

2024年までの円安は、最終的に通貨当局による円買い介入で収束しました。しかし今回は、そのパターンとは異なる展開になるかもしれません。

 

金利引き上げや円買い介入の効果に対して市場が懐疑的な状況が続くなかでは、なにかの拍子に円安が「ノーコントロール」な状態に陥る危険性もあることを警戒する必要があるでしょう。

 

トランプ関税の最高裁判決にも注目…1月の米ドル/円予想レンジは「150~160円」

一方で、米ドル安の拡大により結果として円安が止まり、円高へ転じる可能性も考えられます。

 

トランプ関税に対する米最高裁の判決は1月上旬に出るとの見方もあり、もしトランプ関税が「違憲」と判断されれば、米国から資金が大きく逆流する展開も想定されます。これは、円高方向となるシナリオの1つといえます。

 

NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価は、2000年のITバブル期を上回るほどナスダックが割高な状態となっています(図表6参照)。これはAI関連や一部テック株への資金流入が、ITバブル期以上に過熱していることを示しているのではないでしょうか。

 

こうした資金の流れが、前述の最高裁判決などをきっかけに反転した場合、円安以上に米ドル安が進む可能性にも注目したいところです。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価(1990年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

以上を踏まえると、今月の米ドル/円は、ある意味では円・米ドルともに「暴落」リスクを抱えた不安定な状況にあるように見受けられます。したがって、1月の米ドル/円は「150~160円」の範囲で、上下ともに波乱含みの展開を予想します。

今週の米ドル/円予想レンジは「155~160円」

今週は、12月米雇用統計をはじめ注目度の高い米経済指標の発表が予定されていますが、なかでも「失業率」に注目したいと思います。

 

11月の失業率は4.6%へ急激に悪化したものの、米政府機能の一部停止(シャットダウン)明け直後で、数字に歪みが生じている可能性があるとの見方が広がりました。もしその見方が誤りで、12月の失業率も4.6%となれば、1月FOMC(米連邦公開市場委員会)では利下げとなる可能性が高まります。

 

すでに述べたように、1月は円・米ドルともに「暴落」リスクを抱えていると見られることから、今週もなにかの拍子に大きく動く可能性があります。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「155~160円」と予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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