(※写真はイメージです/PIXTA)

「投資の勉強をしているのに、なぜか上手くいかない」そう悩む人は、もしかしたら努力の方向が少しずれているのかもしれません。富裕層や成功する投資家が、金融知識以上に貪欲に吸収しているものとは? 市川雄一郎氏の著書『普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び』(日経BP)より、単なるテクニックや知識だけでは辿り着けない、成功する投資家が持つ「相場を読み解く視点」の養い方を紐解きます。

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政治と経済は切っても切れない関係

政治と経済の連動について深く話すとかなり長くなってしまうので、簡単に説明していきましょう。

 

まず、前記の通り、政治の変化は、経済に大きな影響を与えます。たとえば、首相が代わると金融政策や経済対策の見直しが行われ、状況に応じて投資家たちも売買するため、結果として株価の変動が起こります。大まかにいうと、規制緩和は株価の上昇を促し、規制強化はそれと反対の動きを見せる。絶対にそうなるとは言い切れませんが、基本的にはそれらの可能性が高まるといって相違ないでしょう。

 

とりわけ動きが活発化するのは為替と株価の2つです。まず為替の場合はどうなのかというと、国の経済状況や金利動向に大きく左右されるため、新しい政権が金融緩和政策を進める場合は、通貨価値が下がりやすくなるという特徴があります。

 

一方、株価はどうか? 前記した規制緩和のケースと同様、企業にとって有利な政策・対策を講じることが決まれば株価は上昇する傾向があり、その逆の場合、つまり多くの企業にとって不利な規制強化が実施されると、市場は混乱し、リスクを回避すべく投資家たちは挙(こぞ)って対象株を売却する動きが活発化します。つまり、株価が下落してしまう結果になるということです。

 

もちろん投資をしていなくても、政治の変化・変動は日々のニュース等で欠かさずチェックする人が多いと思います。それは、仕事や暮らしに与える影響の程度を知るためだと思われますが、普段からそうしたことを確認している人は、投資家としての素質を持っているといっても過言ではありません。

 

何せ金融リテラシーとは、投資や経済に関する専門的な知識を蓄えるだけでは不十分であり、国内外問わず政治の動きについて知ることもまた要素のひとつにほかならないのです。

過去の経済事情を知り、未来を「推測する力」を養う

当然のことですが、将来的に間違いなく株価が上がる銘柄や、未来の市場の動きを正確に言い当てるなんてことは誰にもできません。私たちにできることは「推測」のみであり、断定は不可能です。

 

では推測するために重要な要素は何かというと、それはズバリ「過去を知ること」ではないかと思います。なぜなら、投資をしていくなかで「この状況、昔にもあったような?」と気づいた際、瞬時にそのときの状況を思い返して適切な判断を下すことができれば、それも立派なリスクヘッジになるからです。ただし、まったく同じ状況になることは考えにくく、あくまで「似た状況」になった際に限り有効な判断になると思います。

 

たとえば、20世紀の大悲劇として知られる1929年に起きた「ウォール街大暴落」と1987年に起きた「ブラックマンデー」はまったく状況の異なる出来事でしたし、その後の「リーマン・ショック」もまた然りです。どれも株価は大きく暴落しましたが、起こった背景やその後の動きなどはまったく異なっていました。

 

ただし、それらから学べることは多く、「状況に応じてどう動くか?」という指針にはなるでしょう。ですから、経済並びに政治の歴史を知るというのは、投資を成功に導く要素としてはもちろん、金融リテラシーをアップさせるためにも欠かせない要素といえるのです。

 

今ではいちいち文献を調べなくても、過去の出来事はインターネットで簡単に検索することができます。出来事の名称を打ち込んで検索し、そのときの状況や投資家の動きを把握すれば、ケーススタディとしてあなたの投資生活の一助となってくれることは間違いないでしょう。何より、有事の際に慌てることがなくなるという点が大きいと思います。

 

ビギナートレーダーが大きな暴落に直面した際、その多くは慌てて火消しすべく、とにかく傷が浅いうちに売ってしまおうと考えがちです。しかし、それが本当に適切な手段なのかどうかはわかりませんよね。そのためにも投資において過去を知ることは大変重要なことだといえます。

 

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※本連載は、市川雄一郎氏による著書『普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び

普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び

市川 雄一郎

日経BP

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