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現地の空気を肌で感じ、グローバル感覚を身につけるべき
オンライン会議ツールやインターネットの進歩により、いつでもどこでも海外の様子を知ることができるようになった。そのため、時間や費用をかけて、わざわざ海外に行かなくてもよいだろうという考え方をする人も増えたように思う。
しかし、それはオンラインの使い方としては少し違うのではないかというのが筆者の意見である。筆者の大好きなクラシック音楽でたとえていうならば、クラシックのコンサートをYouTube で見るのと、実際に音楽ホールに足を運んで生演奏を目の当たりにするのとではライブ感がまるで異なる。場の空気の感じ方や、その時その時の自分や周りの感情の揺れがまったく違うのだ。人間の感情を動かすことができるのがライブなのである。
アジア・アフリカの途上国に行けば、医療支援が足りておらず、日々「生命の不平等」にさらされている国や地域がまだまだ多くあることに気づく。アメリカやドイツ、フランスなどの先進国に行っても、「それはおかしくないだろうか?」と思うような矛盾を感じることもあると思う。インターネットやテレビ、書籍などでいくら情報を得ることができるとはいえ、現地に足を運んでこそ気づくこと、分かることも多い。
現地のスタッフと生身のコミュニケーションをとることで、より相互に信頼関係を結びやすくなることもある。ノーベル賞作家のカズオ・イシグロ氏が「人は人に心情を伝えあうことで社会ができている。ここに文学が存在する意義がある」と述べていた。会って話し合うことの大切さである。「便利」で得たものの「損失」も同時に大きいことを知るべきである。
昔、小田 実という作家の書いた『何でも見てやろう』(講談社、1979)というベストセラー書籍があった。これは、小田 実氏が留学生時代に欧米やアジア22カ国を旅したときに出会ったもの・見たものを己の感じるままにつづった旅行記であったが、この書籍のように『何でも見てやろう』の精神で海外に足を運んでほしいものである。
筆者は、大学時代にユーレイルパスという21日間いくら乗っても同じ料金でヨーロッパ中どこへでも行ける切符を買って各地をほっつき歩いた。泊まる場所はなく夜行で移動する。2〜3日に1回安宿に泊まってシャワーを浴びる喜びを味わった。電車もアムステルダムからミュンヘンへ行くつもりが、間違ってハンブルクへ行ってしまった。そこまで行ったら、ユトランド半島が近い。だから今度はそこで思い立ってデンマークへ行き、ついでにとスウェーデンへ回って旅をした。こうした放浪の旅も良い。
途上国に医療支援に行くのもいいし、医療の進歩したアメリカやドイツに行くのもいい。行った先で仕事をすれば、新たな仕事が見つかる。例えば、医師の臨床経験を持ってWHO(世界保健機関)やJICA(国際協力機構)といった国際機関に入って、医療現場の一つ上の視座を持って支援する方法もある。
アフガニスタンで亡くなった中村 哲氏も、医師として現地の人々を助けに行ったが、きれいな水が利用できずに人々が亡くなっていくのを見て、井戸を掘ろうと治水工事を始めた。筆者も、医療の外の世界に目を向けたときに、社会やインフラに目が向いた。
まずは医師として目の前の患者を診る生活からスタートすべきなのはいうまでもないが、医師として臨床経験を積んでから世界に目を向ければ、思いがけないたくさんの種類の仕事が待っているはずだ。
医師になれば多くの道がある。公衆衛生医師になり、保健所や厚労省で医療行政をつかさどり医療者を導く。製薬会社でのエグゼクティブや研究者になる。ファミリープラクティショナーとなって地域で家族の健康を守る。医師といえども多方面に活躍できる職業である。政治家になっている人も少なくはない。
一時的に海外へ医療支援に行ってまた日本に帰国する人もいれば、そのまま海外にとどまる人もいる。いずれの場合も、その人が得た経験や人とのつながりはきっといろいろあるはずだ。だから、日本に帰国してもそのつながりを持ち続けるべきである。医療界はなんと閉鎖的なのだろう。日本という小さな島国単位で物事を考えていたら日本は沈没する。
コロナ禍をきっかけにオンライン会議が浸透し、対外的なコミュニケーションをとりやすくなった一方で、「オンライン化によって失っているものがあるのではないか」と立ち止まって考えることも必要だ。勇気を持って世界に出てほしい。
小林 修三
医師
日本腎臓財団 理事
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