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医師こそリベラルアーツを学び、表現力も磨くべし
患者に本物の笑顔と安心を与える仕事
医師に必要とされているのは、医学的な知識や医療技術だけではない。医師には表現力も必要だ。例えば、カンファレンスで患者の状態や自分がしようとする治療についてプレゼンテーションを行うとき、何を言っているのかさっぱり分からない医師もいる。
医学部では表現力について教わる機会がないためではないかと推測するが、医師が聞いても分からないものが患者に理解できるはずがない。逆にいえば、医師にも分かりやすく説明できて初めて、患者にも分かりやすく説明できるのだ。臨床医は、患者に「ホンマもの」の笑顔を見せて、そして安心を与える仕事である。
医師は人を診る仕事である。毎日人と会話をするのが医師としての仕事の一つであるが、患者やその家族に対して治療方針の説明をしたり、採用する治療法について承諾を得たりするときに必要となるのが表現力である。患者への説明だけでなく、カンファレンスで医師を相手に説明したり、学会発表したりするときも、表現力は欠かせない。
また、「医師からろくな説明も受けることなく、いきなり太い針を首に刺された」「主治医から、もう治療法がないから当院では診られませんと言われた」などの患者の悲痛な声があとを絶たないのも、表現力の問題が関係していると思う。医療は患者とのコミュニケーションの上に成り立つものだが、医師は患者の了解を得ているものと思い込んでいる一方で、患者は決して了解はしていないことがある。これは、ひとえにコミュニケーション不足、医師の説明不足にほかならない。
コミュニケーションは一方的な意思表示ではなく、双方向のやりとりでなければならない。患者はこれから何をされるのか、治療がどう進むのか、先の見通しが分からなければ、ただ不安や恐怖にさいなまれてしまう。プロの医師であるならば、そうした患者の思いを汲み取り、思いやりの気持ちを持って不安や恐怖を少しでも払拭できるように言葉を尽くさなければならないのである。
病気の治る見込みのない患者であっても、「もうあなたは治る見込みはありません」などと直接的な表現で伝えるのではなく、少しでも希望が持てるような言葉をかけて、患者の気持ちを癒やすことが医師として大事なことなのである。
そのために必要なのは、リベラルアーツを身につけて表現力を磨くことだ。リベラルアーツとは人間が自由に生きるための力を身につけるための学問のことで、一般教養とも呼ばれるものである。
