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「教える資格の有無」など存在しない
ただ、「人を育てる・教える」といっても、大学を卒業したばかり、あるいは初期研修を終えたばかりの若い医師たちにとっては、こうしたプロジェクトはハードルが高く感じるかもしれない。実務経験や知見がまだそこまでたまっているわけではないから、自分が行って役に立てるのかと不安になる人もいると思う。
しかし、そこは心配する必要はない。現地の人々と「魚を釣る方法」をともに学べばよいのだ。現地の人々と一緒に考えて、問題を解決しようとする姿勢が大切なのである。
もちろん、生死に関わる場面ではそのような悠長なことはいっていられない。命に関わる手術のような危機的な状況では、こちらが手も出す。
そのような場面でなければ、例えば「血圧が下がり気味なので、ノルアドレナリン量のガンマを上げたほうがよいと思いますが、どうでしょうか?」「そうですね。でも、上げすぎると血管が収縮して尿が出にくくなるという問題は出ないでしょうか?」などのように、「この場合はどうすればいいと思いますか? どうしたいですか?」と問答をしながら伴走することが教育につながる。
ただし、急を要する場合には、どんどん上級医が背中を見せる。緊急時は黙ってでも体が勝手に動くものなのだ。ある意味、医療は医師の感性でやるものなのかもしれない。筆者は理性や知識より感性を重んじる。知識は当たり前の最低限のことだ。
また「先に帰るから、あとはがんばれよ」と肩をたたいて突き放すようにその場を離れ、わざと困る状況にすることもある。そのあとで「今お酒を飲んでいるから行けないけれど、どうしてる?」と電話したりして(本当は1滴も飲んでいないのだが)、自分で考えて解決しなければいけないのだと思うようにわざと仕向けたりすることもある。
言語も慣習もバックグラウンドも異なる相手には、押したり引いたりさまざまな方法でやる気を引き出し、自分で問題解決ができるように育てなければならないのである。
今はなんでもハラスメントである。これで進歩するのだろうか。教える側も慇懃無礼(いんぎんぶれい)になっているかもしれない。本気で向かって指導することも少なくなっていないだろうか? 本気で叱るとは「愛である」。それはハラスメントとはまったく違う。
リーダーは「大胆にして細心であらねばならない。決して小心ではいけない」と思っている。リーダーは人の話を聴けること、説明できること、野心があること、威厳があること、経済が分かること、理屈が分かっていることだ。
