「禁輸140社」米国の規制強化で“覚醒”した中国半導体…官民総出で挑む、自動車産業〈脱・海外依存〉

「禁輸140社」米国の規制強化で“覚醒”した中国半導体…官民総出で挑む、自動車産業〈脱・海外依存〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国による「半導体輸出規制」の強化が、中国の技術自立を加速させている。2024年12月に発表された新たな規制では、140社が事実上の禁輸リストに追加された。しかし、中国はこれを受け、国策基金の設立や企業間連携を通じて、官民をあげて「国産化」へと舵を切っている――。湯進氏の著書『2040中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より、“輸出規制”が促す中国の「半導体国産化戦略」についてみていく。

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「車のスマホ化」進むなか、半導体は“海外頼み”の中国

中国自動車業界の発展が車載半導体需要を大きく押し上げている一方、ガソリン車から電動車への転換は、「車のスマホ化」を促し、半導体がこれまで以上に多様化し、量と付加価値も大幅に引き上げる。EVの半導体の搭載数は約1000~1300個で、ガソリン車の2倍以上となり、特に高度な自動運転機能を搭載する車両は3000個を超えている。

 

一方、日米欧の半導体メーカーに対抗できる中国地場メーカーは少なく、半導体の調達は海外企業に大きく依存し、米中貿易摩擦を機に調達の困難さも増している。支柱産業である自動車産業のサプライチェーンを安定させるため、中国は官民あげて、半導体の国産化を進めている。

 

供給率10%の材料も…官民連携で自給率70%へ

中国政府は、2025年に半導体自給率(外資系の中国生産を含む)を70%に引き上げるとの目標を掲げている。こうした旗振りを受けて、半導体メーカーや自動車メーカーも開発を進めている。車載半導体はコンシューマー機器向けと異なり、活用シーンがより特殊であり、信頼性や安全性に対する要求はより高い。

 

EVモーターの回転速度などを調整したり、省エネ性能を高めたりするのに使われる高性能のパワー半導体では、BYDや中車時代など複数の地場企業が参入している一方、高速通信系や駆動系、制御系では、地場メーカーによる供給率は10%程度にとどまる【図表1】。

 

出所:現地ヒアリングより筆者作成
[図表1]中国の車載半導体の自給概況(2024年時点) 出所:現地ヒアリングより筆者作成

 

また、半導体製造に用いる化学薬剤のフォトレジスト、レジスト塗布装置、アナログチップの国産化率は10%程度にとどまり、関連部材・装置は多くを海外メーカーに頼っている。

 

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※本連載は、湯 進氏による著書『2040 中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

2040 中国自動車が世界を席巻する日

2040 中国自動車が世界を席巻する日

湯 進

日本経済新聞出版

BYDの実力、群雄割拠の各社の戦略、CATLが見ている未来……。 知能化でどう変わるのか、産業政策の実態は、日本企業は2040年の市場で勝てるのか――。電動化を追い風に爆発的に成長した中国自動車産業。本書は、成長を生み…

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