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自社設計を強化…「棲み分け戦略」で攻めるファーウェイ
ファーウェイは2019年9月に世界初のフラグシップ5Gシステムオンチップ(SoC)「麒麟990」を開発し、2020年には新型チップ「麒麟820」を発表し、ミドルレンジ帯プロセッサとしては初の5G対応製品となった。
また、子会社の海思半導体(Hisilicon)を通じて、5G対応ベースバンドチップ「巴龍5000」、サーバー向けプロセッサ、AIや5G基地局向けチップなどを相次いで投入した。
新型の麒麟は、海思半導体が設計し、SMICが受託生産しているとされる。半導体の性能を左右する回路チップは、米アップルの最先端機種新型に搭載されている3ナノメートルチップに対し、技術的な限界があるため見劣りするものの、独自開発するOSで半導体の性能を補おうとしている。またファーウェイは7ナノのAI半導体を開発し、スマホ向けサービスでもAIの利用を広げるなど注力している。
AI半導体である「昇騰(アセンド)910C」は7ナノメートルプロセスを採択し、2025年に量産する予定。現在、米政府の制裁の影響でオランダのASML製極端紫外線(EUV)露光装置を利用できないため、ファーウェイの先端半導体の歩留まり率は50%前後にとどまっているという。
直近、ファーウェイの任正非CEOが「米国の先端路線を避け、棲み分けしたミドル・ローエンド分野に資源を集中し、強みを構築すべきだ」といったメッセージを社員に投げかけた。傘下の海思半導体を使って最先端ICの開発を加速させ、自社生産が可能な半導体に特化し、同分野で戦略財を握ろうとしている。
巨額投資で3ナノ達成…「世界4番手」となったシャオミ
シャオミは2014年に「北京松果電子」を立ち上げ、複数機能を1つのチップに集約したSoC(システム・オン・チップ)の開発を開始。2017年には、初めて独自開発した28ナノメートルチップ「澎湃(Surge)S1」を搭載したスマホを発売した。しかし、技術や人材の不備などにより、SoC開発は中止した。
2021年にはEV参入を契機に、SoC再開発の計画を立ち上げ、10年で500億元を投じる長期戦略で、高機能チップの開発を実現しようとしている。
2025年5月、シャオミは自社設計した最新のスマホ用半導体「玄戒O1」を公開し、スマホの新機種「Xiaomi15SPro」に搭載する。4年以上にわたる研究開発に135億元を投じ、開発チームは2500人規模にまで拡大した。
シャオミは米アップルやクアルコム、台湾メディアテックに続き、3ナノメートルSoC(システム・オン・チップ)の開発に成功した4番目の企業となった。
スマホ依存の経営から脱するためEVに参入したシャオミにとっては、半導体の調達が制限されると、自社事業が立ちゆかなくなる恐れがある。一方、高性能半導体は中国の産業発展に不可欠の技術で、シャオミは政策や資金、人材を自社にひきつけ半導体事業を有利に展開できる。雷軍CEOは2026年から5年間で研究開発費に2000億元を投入し、半導体にも経営資源を注ぐ。