自動車覇権は日本から中国へ…「中国車」が関税を回避し、世界の勢力図を塗り替える「恐るべき戦略」

自動車覇権は日本から中国へ…「中国車」が関税を回避し、世界の勢力図を塗り替える「恐るべき戦略」
(※写真はイメージです/PIXTA)

2023年、日本は7年ぶりに自動車輸出台数「世界首位」の座から陥落した。その座を奪ったのは、中国だ。日米欧が制裁で撤退したロシア市場を総取りし、EV(電気自動車)を武器に欧州市場へ攻勢をかける中国。欧米が慌てて「高関税」という壁を築こうとする今、中国はすでにその“次の一手”を打ち始めている。本稿では、産業エコノミストである湯進氏の著書『2040 中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より、中国自動車の現在地について分析する。

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日本の停滞をよそに、攻勢を強める「中国自動車」

国内新車市場の減速に伴い価格競争が激化するなか、中国の自動車メーカーが相次いで海外への輸出戦略を展開し、中南米や東南アジア、欧州で影響力が拡大している。

 

一方、中国製自動車・EVを警戒する動きが欧米で広がり、部品や材料、資源の域内調達の動きや、サプライチェーンのブロック化の動きが加速している。中国勢の海外戦略も、自動車輸出から海外生産へと変化しつつある。

「環境保護」が追い風に…2023年、中国EVは世界首位に君臨

世界の気候変動対策の長期目標がEV普及を推進し、日米欧だけではなく、多くの国・地域が温室効果ガスの排出削減目標を打ち出した。2030年の目標では、日本が2013年度比46%削減、EUと米国はそれぞれ1990年、2005年比で5割以上の削減を掲げている。

 

こうした目標をもとにして、新車販売の電動化率の目標も立てられている。電動化が環境保護に寄与する潮流が広がっているなか、中国EVにとって、海外展開しやすい環境が整えられた。

 

中国政府は以前から企業の海外進出を促してきたが、これまでに強い国際競争力を構築できた製品は、液晶テレビやパソコン、スマホなど家電・IT分野がほとんどであった。製造業の代表格である自動車は輸出台数がなかなか伸びず、2017年から2020年にかけて100万台規模で推移していたが、そこから年間100万~200万台ペースで増えており、2021年に初めて200万台を突破した【図表1、2】。

 

出所:中国海関統計(低速EVを含む)、中国自動車工業協会の発表(会員企業が申告した出荷台数)より筆者作成
[図表1]中国の自動車輸出台数の推移 出所:中国海関統計(低速EVを含む)、中国自動車工業協会の発表(会員企業が申告した出荷台数)より筆者作成

 

出所:中国海関統計(低速EVを含む)、中国自動車工業協会の発表(会員企業が申告した出荷台数)より筆者作成
[図表2]中国のNEV輸出台数の推移 出所:中国海関統計(低速EVを含む)、中国自動車工業協会の発表(会員企業が申告した出荷台数)より筆者作成

 

そして2023年には初めて世界首位になり、日本の首位陥落はドイツがトップになった2016年以来7年ぶりであった。

 

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※本連載は、湯 進氏による著書『2040 中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

2040 中国自動車が世界を席巻する日

2040 中国自動車が世界を席巻する日

湯 進

日本経済新聞出版

BYDの実力、群雄割拠の各社の戦略、CATLが見ている未来……。 知能化でどう変わるのか、産業政策の実態は、日本企業は2040年の市場で勝てるのか――。電動化を追い風に爆発的に成長した中国自動車産業。本書は、成長を生み…

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