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「売り込む」のではなく、「勝手に使いたくなる」仕組みの作り方
小杉は微妙な顔をして(そもそも反町さんが説明してくれないから、こうしてボクが勉強して説明しているんだけどなぁ)と思いながら話を続けた。
「こうして外部からアプリを使う仕組みは、以前も言ったようにAPIと言うんだ。このAPIの仕組みを使ってパートナーを広げていって、成長して生み出す市場を『APIエコノミー』という。ボクらのようなヒト・モノ・カネが少ないけどいい製品を持っているスタートアップにとって、APIは大きな武器になる」
日吉が「これを実現するためにはどうすればいいの?」と尋ねた。
「社外エンジニアへの支援体制をつくるんだ。ガイドや最新情報を提供し続けたり、社外エンジニアと情報交換して、彼らとのコミュニティをつくる。これをbエコシステムbbっていうんだ」
「うわっ。エクソシストって何か恐そう。私、恐いの苦手……」
「違う違う。エクソシストじゃなくて、エコシステム。『生態系』って意味だ。豊かな森林に多くの動植物が助け合うエコシステム(=生態系)があるように、社外エンジニアとの豊かなエコシステムを育てれば、自然と『影武者』のビジネスは成功するんだ」
マルクスが興奮しながら立ち上がって、ホワイトボードに描き始めた。
「グレート! これこそ、まさにボクたちの『弱者』のチャネル戦略デス。他社のエンジニアの力で『影武者』の価値を最大化して『ひとり情シス』の課題も解決できマス。素晴らしいチャネル戦略デス!」
「小杉クン、マルクス、すごい! これで勝てそうな気がするわ」絵を見た日吉が言うと、スピーカーからも反町の拍手の音が聞こえてきた。
マルクスも絵を見て何度もうなずきながら、言った。
「APIとかエコシステムというと『デジタルの話は自社のビジネスとは関係ない』という人が多いかもしれマセン。でもこの仕組みの本質は、エコシステムの育成デス。非デジタルでも成功事例がたくさんありマス」
エコシステムを育てて成功しているマクドナルド、メルカリ
興奮冷めやらないマルクスは続けた。
「マクドナルドも、エコシステムを育てて成功してマス。『独立して店を運営したい』というフランチャイズの店舗オーナーがエコシステムの仲間デス。そしてマクドナルドは彼らにハンバーガーをつくって売ることで収益を上げる仕組みを提供していマス。マクドナルドも、フランチャイズの店舗オーナーと豊かなエコシステムを育てて、商品を売る仕組みをつくっていマス」
「なるほど、そう考えるとこのエコシステムの仕組みって他でも活用できるわけね」
日吉が言うと、マルクスがうなずいた。
「フリマアプリのメルカリも、不要なモノを売りたい売り手、安く買いたい買い手、商品受け渡しをサポートする配送業者、簡単に決済できるメルペイなどのエコシステムを育てて、大きく成長しマシタ」
「エコシステムって、大きく育つと力を発揮するのね」
「そうデス。この方法なら、ボクたちは『影武者』で、世界で戦えマス」

