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登場人物紹介
日吉 慶子(ひよし・けいこ)
本作の主人公。中小IT企業「UDサービス」の若手社員。「会社を世界一にする」という情熱(アニマルスピリット)を持つが、空回りしがち。
マルクス・ハマー
日吉の部下となる米国人のマーケティング専門家。「マーケティング界のロックスター」の異名を持つ。日本のビジネスを研究するために来日。
小杉 武蔵(こすぎ・むさし)
日吉と同期入社の同僚。内向的な性格で、情熱的で突っ走りがちな日吉に振り回されながらも、冷静な視点でチームを支える。
大企業と戦うにはどうすればいい?…競争の「3つ」の基本戦略
「でもトライアンフってスキがないわね。どう戦えばいいのかなぁ」
日吉はそう言いながら大口を開けて、バーガーキングから届いた巨大なトリプルワッパーチーズを頰張り、モグモグ食べ始めた。
マルクスは中華料理店から届いた海老チリソースを食べながら答えた。
「企業同士の戦い方を整理した理論が参考になりマス。経営学者マイケル・ポーターが提唱した競争の3つの基本戦略デス。ポーターによると、企業が戦う戦略は3つだけデス。1.差別化戦略、2.コストリーダーシップ戦略、3.集中戦略デス」
「たった3つ?」驚いた日吉はむせて、慌ててコカ・コーラのLサイズをゴクゴクと流し込んだ。
1.差別化戦略
「差別化戦略は『このニーズに応えられるのは当社だけ』という状況をつくって、買ってもらう戦略デス」
「差別化ってことは、要は『他社と違えばいい』ってこと?」
日吉が尋ねるとマルクスは首を振った。「それはよくある勘違いデス。たとえば……。ケイコサンはいつもオシャレデスネ。どこのブランドデスカ?」
「何よ、いきなり。私、昔からZARAが好きなの。トレンド感があるし、おしゃれでしょ?」
その横で、小杉がボソッとつぶやいた「おしゃれ、ねぇ。ボクはユニクロだなぁ。シンプルで飽きがこないし、トレンドなんか関係ないしさ」。
「そういうことデス!」マルクスはうなずいた。
「ZARAはトレンドに敏感な人たちに『今っぽさ』を提供していマス。逆にユニクロは『究極の普段着』として、トレンドに左右されない、誰でも着やすく、機能的な服を提供していマス。両方とも『この特定のニーズに応えられるのは当社だけ』という状況をつくり、ケイコサンとムサシサンの要望に応えていマス」
2.コストリーダーシップ戦略
「どこよりも低コストにしマス。勝つのは業界で1社だけ。コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は、強者が取れる『強者の戦略』でもありマス」
マルクスは集中戦略に〇を付ける。
「我々弱者が選ぶべき戦略は、集中戦略デス。これは『弱者の戦略』でもありマス」

