(※写真はイメージです/PIXTA)

長く家庭を支えてきた専業主婦が、50代になってから就職活動を始めるケースがあります。子どもの独立、夫の収入減、離婚、親の介護費など、理由はさまざまです。しかし家事や育児を担ってきた年月は確かな経験である一方、職歴としては見えにくく、求人票の前で立ち止まってしまう人も少なくありません。

「働けば何とかなる」…そう思って開いた求人サイト

美恵子さん(仮名・53歳)は、結婚後、20年以上専業主婦として家庭を支えてきました。子ども2人は大学生と社会人になり、家計にも少し余裕が出てくるはずでした。

 

ところが、夫の勤務先で早期退職の話が出たことで状況は変わります。夫は再就職先を探すことになりましたが、収入はこれまでより下がる見込みでした。住宅ローンは残っており、下の子の学費もあと数年かかります。

 

「私も働くしかないよね」

 

美恵子さんは、そう言いました。夫は最初、戸惑った様子でした。

 

「無理しなくてもいいんじゃないか」

 

しかし美恵子さんには、家計の数字が見えていました。食費、光熱費、学費、保険料、住宅ローン。節約だけでは追いつかないと感じていたのです。

 

若いころに短期間だけ事務職をしていた経験はありました。しかし、結婚後は育児と家事に専念し、履歴書を書くこともありませんでした。

 

久しぶりに文房具店で履歴書を買ったとき、美恵子さんは思わずつぶやきました。

 

「まさか自分が履歴書を書くなんて……」

 

最初は、パートならすぐに見つかると思っていました。近所のスーパー、事務補助、受付、清掃、コールセンター。求人サイトには多くの仕事が並んでいます。

 

ところがいざ応募しようとすると、手が止まりました。職歴欄に書けることがほとんどなかったのです。

 

「専業主婦って、何もしてこなかったことになるの?」

 

美恵子さんは、履歴書を前に落ち込みました。

 

家計を管理し、子どもの学校行事に対応し、親の通院に付き添い、地域の役員もしてきました。毎日忙しく過ごしてきたはずなのに、履歴書の中では空白が長く続いているように見えました。

 

何とか応募しても、結果は思うようにいきませんでした。事務職はパソコンスキルや実務経験を求められ、受付は年齢や勤務時間の条件が合いません。スーパーのレジは応募者が多く、面接で「土日や夜も入れますか」と聞かれました。

 

「子どもは大きいですが、家のこともありますので……」

 

そう答えると、相手の表情が少し曇ったように見えました。

 

総務省『労働力調査(2025年)』では、女性の就業率は上昇傾向にあり、50代女性でも多くの人が働いています。しかし長期間仕事から離れていた人にとっては、再就職時に職歴の空白やスキルの更新が課題になりやすいのが現実です。

 

美恵子さんは、数社から不採用の連絡を受けるたび、自信を失っていきました。

 

 \6月16日(火)開催/
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