(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の資産運用というと、保守的なイメージが根強いかもしれません。しかし実際には、バブル期やITバブル期などを経て、株式や投資信託、不動産などに精通した高齢者も少なくありません。とくに経済や金融に関心のあった団塊の世代を中心に、自分の判断で積極的に資産を動かし、老後もリスクとリターンを見極めながら運用している人たちが存在します。

「遺産はもう、減っているだろうと思っていた」

東京都在住の藤田健吾さん(仮名・35歳)。祖母・光子さん(仮名)の訃報を、92歳という年齢を考えれば「大往生だった」と静かに受け止めていました。

 

光子さんは20年前、健吾さんの祖父が亡くなった際に、およそ3億円の遺産を相続しています。都内の土地や株式、不動産投資信託などを含む資産だったといいます。

 

「祖父は不動産会社の経営者でしたが、事業は息子である父が継いでいたので、祖母は“悠々自適の老後”を送っていたと聞いています。ただ、92歳まで一人暮らしでしたし、介護や医療費もかさんでいただろうし……さすがに資産は減っていると思っていたんです」

 

しかし、葬儀が終わり、遺品整理のために通帳を確認したとき、健吾さんは目を疑います。

 

「正直、思わず二度見しました。え、これ本当にばあちゃんの通帳?って。祖父が亡くなった時より増えていたんです。手元にあった資産だけで、3億8000万円近く」

 

不動産は既に売却され、現金と有価証券の形に変わっていたという光子さんの資産。その多くが株式投資信託や外貨建て保険商品など、比較的リスクを取った運用先だったといいます。

 

「あとからわかったんですが、祖母は、数年前まで毎月証券会社の担当者と電話でやり取りしていたそうです。高齢だからって投資をやめるどころか、むしろ元本を守りながら増やすにはどうすればいいかを自分なりに考えていたみたいで……」

 

光子さんは晩年まで元気で、認知機能にも問題はなかったといいます。ただ、家族との関係はやや距離があり、「資産の話は一切しない人」だったとのこと。

 

「父が何度か“そろそろ整理を考えてもいいんじゃない?”と提案しても、“死んだらわかるから”と一蹴されていたそうです。生前贈与の提案も断られたとか。あくまで“自分のお金は自分で管理する”という意志が強かったんでしょうね」

 

結果的に、光子さんの相続資産は、遺言書に従い、健吾さんを含む複数の相続人に分配されることになりました。

 

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