「気づいたら、母に頼る生活になっていました」
「最初からこうなるつもりではなかったんです」
そう話すのは、都内近郊で母と同居していた由美子さん(仮名・68歳)です。
由美子さんは長く定職に就かず、収入は月6万円ほどの年金のみ。生活の大半は、母・節子さん(仮名・享年90)の年金や貯蓄に頼っていました。
「食費も光熱費も、ほとんど母が払ってくれていました」
家事についても、母が担うことが多かったといいます。由美子さんは日中、外出することも多く、趣味に時間とお金を使っていました。
「コンサートやイベントが楽しみで…それが生きがいみたいなもので」
本人としては「自身の年金の範囲で好きにやっている」という認識でしたが、生活基盤の多くを母に依存していました。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得を消費支出が上回る傾向にあります。支出の多くを親の収入に頼る状況は、長期的には持続しにくい構造です。
「家事や買い物なども、正直ほとんど母に任せていました」
負担の偏りは明らかだったといいます。それでも、関係が大きく変わることはありませんでした。
「母に『もう少し手伝ってほしい』と言われたこともありましたが、深く考えていませんでした」
転機となったのは、節子さんの死でした。入院後まもなく亡くなり、由美子さんは一人で生活を続けることになります。
「正直、何から手をつければいいのか分かりませんでした」
遺品整理の中で、通帳や書類を確認していくうちに、想定していなかった事実が明らかになります。
「もっと残っていると思っていました」
預貯金は大きく減っており、さらに固定資産税や公共料金の未払いも確認されたのです。
「払えていなかったというより、後回しになっていた感じでした」
日々の生活費を優先する中で、支払いが滞っていたとみられます。
