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「頑張れるうちは働こう」定年後も都心で働いていたが…
坂本良一さん(仮名・70歳)は、東京・練馬区で長年暮らしていました。勤めていた大手メーカーでは、65歳で定年を迎えた後も、週3日の契約社員として勤務を継続。年金の受給開始を目前に控え、「まだ頑張れるうちは働こう」と決めていたといいます。
「職場の仲間とも気心が知れていて、仕事も嫌いではなかったんです。でも、70歳が見えてきたとき、ふと“このまま東京で年を取っていくのかな”って立ち止まったんですよね」
賃貸マンションの家賃は月12万円。一人暮らしには広い2DKの部屋で、スーパーまで徒歩15分。都心に出やすいのが取り柄とはいえ、車もなく、真夏や真冬の移動には苦労することもありました。
転機は、会社の後輩が茨城県北部の古民家に移住したことでした。
「“今度遊びに来ませんか”と言われて、ドライブがてら行ってみたら、本当に空気が違う。『空ってこんなに広かったっけ?』と驚きました」
自然が豊かで、車で15分圏内にスーパーや病院もある立地。駅からはやや距離があるものの、シニア向けの自治体バスが巡回しており、日常生活にはさほど不自由がなさそうでした。
「その後、地元の不動産屋さんを紹介してもらって、古い平屋を見に行ったんです。“まあ参考程度に…”と思っていたのに、即決していましたね。自分でもびっくりしました」
坂本さんが購入したのは、築40年の平屋住宅。土地付きで500万円。リフォーム費用は別にかかったものの、都内での1年分の家賃にも満たない金額で、住まいを手に入れることができました。
「移住して3年になりますが、正直に言って快適です。庭で季節を感じながらのんびり暮らせて、近所の人も親切。ただ、自治会の行事や草刈りなど、地域ならではの“参加義務”もあって、最初は戸惑いました」
坂本さんの月の年金受給額はおよそ15万円。地方移住後は、家賃がゼロになったこともあり、食費・光熱費・雑費を含めた生活費は月12万円ほどに抑えられています。
