(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、SNSやマッチングアプリを通じて関係を築き、金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」が増加しています。警察庁の公表資料でも、SNSをきっかけとした詐欺被害は高水準で推移しており、特に中高年層が被害に遭うケースが目立っています。孤独感や将来への不安に寄り添う形で信頼関係を築き、金銭のやり取りへと誘導する手口が特徴です。

孤独の中で深まった関係と、止められなかった送金

定年まで会社員として働き、退職金約2,200万円を得た康夫さん(仮名・67歳)。預貯金と合わせた金融資産は約3,000万円。夫婦で穏やかな老後を送る予定でしたが、数年前に妻を亡くし、一人暮らしをしていました。

 

「時間はあるけど、話し相手がいない。それが一番こたえました」

 

そんなとき、SNSで一人の女性と知り合います。相手は海外在住を名乗る女性で、自然な日本語を操りました。

 

「最初は軽いやり取りでした。でも、毎日連絡をくれるようになって…」

 

「今日もお疲れさま」

「あなたと話す時間が一番落ち着く」

 

やり取りは次第に頻繁になり、電話やメッセージを通じて親密さが増していきました。

 

「誰かに必要とされている感じがして、うれしかったんです」

 

関係が深まった頃、女性から相談を持ちかけられます。

 

「実は、トラブルに巻き込まれていて…」

「すぐに解決できるけど、今だけお金が足りない」

 

頼まれた金額は、数十万円でした。

 

「正直、迷いました。でも、“困っているなら助けたい”と思ってしまったんです」

 

送金後、女性は何度も感謝の言葉を伝えてきました。

 

「本当にありがとう」

「必ず返すから」

 

そのやり取りが、康夫さんの不安を打ち消していきました。

 

その後も「あと少しで解決する」「これが最後」という言葉とともに、追加の送金を求められるようになります。

 

「ここまで来たら、途中でやめるのも…という気になっていて…」

 

結果的に、退職金や預貯金からの送金額は1,000万円を超えてしまいます。

 

「今思えば、完全に冷静さを失っていました」

 

転機となったのは、「日本に行く」という約束でした。

 

「ようやく会えると思ったんです」

 

しかし、直前になって「トラブルで出国できない」と連絡が入り、その後、連絡は途絶えました。

 

「その時点で、ようやくおかしいかもしれないと気づきました」

 

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