この春、都内の私立大学に進学する息子。しかし、父の胸は晴れません。「あのとき浪人を許すべきだったのか…」。子どもの夢を尊重した代償として、家計と老後計画に重くのしかかる現実とは?

「どうしても行きたい大学がある」…息子の懇願に浪人を許可

「おめでとう、なんですかね……」

 

この春、都内の私立大学へ入学する息子に複雑な気持ちを抱えているのは、会社員の佐藤健一さん(仮名・53歳)。理由は、この1年間の出来事にありました。

 

健一さんの長男は、昨年の大学受験でいくつかの私立大学に合格しました。ところが、息子は、どうしても行きたい大学があり納得できなかったといいます。

 

「もう1年だけ挑戦させてほしい」

 

そう頭を下げられたのです。浪人は簡単な選択ではありません。それでも最終的には、息子の気持ちを尊重しました。「親のせいで、行きたい大学に行けなかった」と思ってほしくなかったからです。

 

浪人生活が始まると、のしかかってきたのは「お金」の重い現実でした。息子は大手予備校に通うことになり、年間の費用はおよそ90万円。さらに模試や教材費、交通費、そしてお小遣いも含めると、支出は1年間で120万円を超えました。

 

世帯年収は950万円。共働きではあるものの、住宅ローンがあり、下には高校生の娘も。それでも外食を減らし、旅行も見送り。ボーナスの一部を予備校費用に回すなど、やりくりを続けたといいます。一方、息子は浪人という立場ゆえ、アルバイトをすることもできませんでした。

1年間の浪人生活の結果

「浪人させてもらったんだから、絶対に受かる」――息子も必死で勉強していたはずでした。しかし、結果は厳しいものでした。第一志望は不合格。さらに、滑り止めとして受けた大学もいくつか落ちてしまいました。

 

もちろん二度目の浪人はありません。最終的に息子が進学を決めたのは、前年の現役時代に合格していた大学よりも偏差値の低い私立大学でした。

 

もちろん息子本人の落ち込みも相当なもの。それでも進学する大学を決めて、前に進むことにした。それ自体は喜ばしいことです。しかし、「この1年、なんだったのか」というもやもやした感情を拭いさることは、まだできません。

 

 「浪人なんて絶対させられない、そう言ったほうがよかったのか。今となっては、あの時の決断が正しかったのかもわからなくなっています」

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