「大学さえ出ればなんとかなる」と思っていた
手塚里奈さん(仮名・26歳)は、地方の進学校を卒業後、東京の私立大学に進学。学費と家賃のため、JASSOの第一種奨学金(月額5万円)と第二種奨学金(月額3万円)、合わせて月8万円を借りていました。
「学費も下宿代も、自分で払えるはずがなかった。『大学さえ出れば就職できて、返せる』と親も言っていたし、私も信じていました」
大学4年間で借りた総額は約384万円。利息込みで返済総額は400万円を超える見込みとなりました。
卒業後、手塚さんは都内の中小企業に就職。手取りは18万円前後。毎月の奨学金返済額は約2万円です。
「最初の頃は、外食を減らして節約すれば払えると思っていました。でも、住民税や年金の支払いが始まって、健康保険も自己負担になって……気づけば毎月ギリギリ」
月によっては、クレジットカードのリボ払いに頼ることも。家賃・光熱費・食費を差し引くと、自由に使えるお金は1万円以下になる月もあったといいます。
「本当に情けない話なんですが、20代半ばをすぎても貯金がゼロなんです。結婚して出産準備している友人もいるなかで、私は生活のことで精一杯で……」
手塚さんは「大学に行ったのは正解だったのか」と、ふと考えてしまうことがあると語ります。
「もちろん勉強できたのは楽しかったし、無駄ではないと思いたい。でも、いま払っているのって“未来のための投資”じゃなくて、“過去の出費の後始末”なんですよね」
なお「延滞3ヵ月以上」でブラックリスト入り(信用情報登録)することもあり、クレジットカードや住宅ローンの審査に影響するケースもあります。
