希少フェラーリF50も「減価償却」対象で普通車扱い? 高級車売却で知らないと損する税金ルール、フェラーリを巡る判例から読み解く“資産評価のリアル”

希少フェラーリF50も「減価償却」対象で普通車扱い?  高級車売却で知らないと損する税金ルール、フェラーリを巡る判例から読み解く“資産評価のリアル”
(※写真はイメージです/PIXTA)

フェラーリF50――世界でわずか349台しか生産されなかった希少モデル。この高級スポーツカーは、単なるステータスシンボルにとどまらず、投資対象としても注目されています。しかし、税務上は「減価償却資産」に該当するのでしょうか。東京地裁・東京高裁の判決は、取得費の算定や譲渡所得の扱いに重要な示唆を与えています。本記事では、希少資産の価格形成要因と税務評価の現実を整理し、投資家が知っておくべきポイントを解説します。

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フェラーリは減価償却資産に該当するのか?

フェラーリを所有することは、社会的には高額所得者のステータスシンボルと認識されています。その市場価格は、一般の自動車とは異なり、必ずしも経年に伴って下がるわけではなく、希少性や美的価値によって上昇することもあります。

 

このフェラーリについて「減価償却資産に該当するか」が争われた判例(東京地裁令和5年3月9日判決・東京高裁令和5年11月30日判決)があります。

◆事件の概要

処分行政庁は、原告が所有していたフェラーリ4台が所得税法38条2項の「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するとして、譲渡所得計算上、取得費から減価償却相当額を控除して更正処分を行いました。

 

これに対し原告は、「そのうちフェラーリF50は減価償却資産に当たらない」と主張し、処分の取消しを求めました。

 

争点は、値上がりしているフェラーリを譲渡した場合、取得費の計算において減価償却を行うか否かという点でした。

 

◆課税額に大きな差

通常、譲渡所得の計算は以下のとおりです。

 

譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除(50万円)

 

「取得費」が減価償却資産に該当する場合は、以下の計算になります。

 

取得費 = 購入代金 - 減価償却相当額

 

たとえば、1億円で購入したフェラーリを2億円で譲渡した場合、

 

・減価償却を行うと取得費は1,000万円(1億円-9,000万円)、課税対象は1億9,000万円

 

・減価償却を行わないと取得費は1億円、課税対象は1億円

 

となり、課税額に大きな差が生じます。

 

次ページ納税者の主張(フェラーリF50の特殊性)
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