フェラーリF50――世界でわずか349台しか生産されなかった希少モデル。この高級スポーツカーは、単なるステータスシンボルにとどまらず、投資対象としても注目されています。しかし、税務上は「減価償却資産」に該当するのでしょうか。東京地裁・東京高裁の判決は、取得費の算定や譲渡所得の扱いに重要な示唆を与えています。本記事では、希少資産の価格形成要因と税務評価の現実を整理し、投資家が知っておくべきポイントを解説します。
判決への疑問
もっとも、この判決は「フェラーリF50=車両」という単純な図式に依拠しているように思われます。
実際には、取得費の内訳を「機能面の価値」と「希少性・美的価値」に分け、機能部分のみを減価償却する方法もあり得るはずです。
・車両としての機能価値:2,500万円(減価償却対象)
・希少性・美的価値:残余部分(非減価償却対象)
以上の2点であるとすれば、より合理的な取得費計算になると考えられます。
関連する法人税の裁決例
参考までに、法人税においてイタリア製高級スポーツカーの減価償却を認めた裁決(平成7年10月12日、非公開)があります。
この事例では、課税庁は「趣味的な利用であり、法人の資産計上は不当」と主張しましたが、裁決は「出張や通勤に使用されていることが推認できる以上、損金算入を否認するのは相当でない」と判断しました。
すなわち、社会通念上は個人的趣味に見える資産でも、事業利用が認められれば法人の減価償却資産として扱われるのです。
これなどは、どちらといえば、納税者には有利な裁決ですが、しかし、この手の事例では、社会常識を重んじる課税庁から否認されることが多いことから、気をつけるべきでしょう。
八ツ尾 順一
大阪学院大学教授
東大法学部卒・オックスフォード大学MBAの国際弁護士が
「海外活用術」を伝授
書籍『富裕層3.0 日本脱出』+α解説セミナー
>>>1月27日(火)ライブ配信
富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
>>カメハメハ倶楽部<<
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【2/12開催】弁護士の視点で解説する
不動産オーナーのための生成AI入門
「トラブル相談を整理する道具」としての上手な使い方
【2/14-15開催】
「揉めない遺言」の作り方~まるっと解説<実例集>
大阪学院大学法学部 教授
公認会計士・税理士
昭和26年生まれ。京都大学大学院法学研究科(修士課程)修了
【主な職歴】
摂南大学経営情報学部教授
近畿大学法学部教授
大阪学院大学法学部教授(現在)
【著書】
『交際費(第5版)』(平成19年)中央経済社/『入門連結納税制度』(平成11年)財経詳報社/『第7版/事例からみる重加算税の研究』(令和4年)/『(新装版)入門税務訴訟』(平成22年)/『七訂版/租税回避の事例研究』(平成29年)/『マンガでわかる遺産相続』(平成23年)以上、清文社/「やさしくわかる減価償却』(平成12年)日本実業出版社/『対話式相続税増税時代の実務と対策』(平成26年)ぎょうせい他
【その他】
平成9~11年度税理士試験委員
平成19~21年度公認会計士試験委員(「租税法」担当)
在外研究(Visiting Scholar, University of Hawaii William S. Richards on School of Law:2009)
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載税務当局が監視する、超富裕層の国際相続をふかぼりする