パウエル議長の発言を受けた市場展開に注目
8月1日の米雇用統計発表を受け、米労働市場が急悪化する懸念が浮上し、早期利下げ再開との見方が広がりました。
先週はCPIやPPI、小売売上高など注目の米経済指標が相次いだことから、そういった早期利下げ再開の見方にどう影響するかが注目され、なかでも特にPPIが大きく上昇し、懸念されていた関税引き上げによるインフレ再燃が改めて意識されるところとなりました。
ただ、次回9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%の追加利下げとの見方が有力な状況が変わるまでには至らなかったようです。今週は、ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の講演が予定されているため、ここでの発言が注目を集めるところとなりそうです。
上述のPPIの結果に加え、最高値更新が続く米国株などの動きをみると、FRB内に早期利下げ再開への慎重論があるのは当然でしょう。
一方で、トランプ大統領を筆頭とした強烈な「利下げ包囲網」からすると、それを退けるのも簡単ではなさそうです。
そういった意味では、例年以上にパウエル議長の「ジャクソンホール発言」は読みづらく、だからこそパウエル議長の発言を受けた金融市場の反応も大きくなる可能性があります。
最近にかけては日米ともに株価が急騰しており、特に米国株はテクニカルに“上がり過ぎ”の懸念もあります。特にナスダック総合指数のNYダウに対する割高は、2000年のITバブル以上に拡大してきました(図表6参照)。
こうした米国株が、米早期利下げ再開のテーマにどのように反応するかも個人的には注目したいところです。
今週の米ドル/円予想レンジは「145~149円」
米早期利下げ再開の可能性が続くなか、逆にそれが後退した場合米国株“上がり過ぎ”の反動が広がるリスクもあることを考えると、米ドル/円の上値は限られるのではないでしょうか。下値は146円がテクニカルな分岐点と考えられます。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「145~149円」と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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