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関税交渉妥結を受けての急騰は行き過ぎ
日経平均は4万円台を維持しているが、これは上出来だろう。というのは関税交渉妥結を受けての急騰が、たとえるなら「バッファー」であり、その分の修正で済んでいるのは、単にオーバーシュート分を吐き出したに過ぎないからだ。
関税交渉妥結を受けての急騰は行き過ぎだったと思える。日米通商交渉が急転直下、妥結したのは7月23日。当初示されていた相互関税の税率が15%に下がっただけでなく自動車関税についても既存の関税率とあわせて15%とすることで合意した。これに市場は狂喜乱舞したといっても過言ではないほどの反応をみせた。日経平均の上げ幅は一時1,500円を超え、トヨタ自動車の株価は一時16%も上昇したのだから。
翌、24日も楽観ムードは続いて日経平均は大幅続伸、取引時間中には4万2,000円にワンタッチする場面があった。TOPIXは史上最高値を1年ぶりに更新。
しかし、これは前述したとおり、明らかにオーバーシュートだろう。なぜなら、確かに関税率は下がったとはいえ、関税がかかるにはかかるのだ。経済や企業業績に対する悪材料がなくなったわけではない。そして肝心のファンダメンタルズ面が悪化している。図表1は筆者が算出している理論株価と実際の日経平均の値を示したものだが、直近は理論株価との乖離が拡大しているのがわかる。
理論株価は企業業績の見通しと長期金利から算出する。前述のとおり、金利が下がってくれたのは株価にとってのプラス要因だが、業績見通しのほうも低下している。この結果、日経平均の理論株価は現在のところ、3万8,000円程度だ。もちろん実際の相場では株価は理論値通りとならないから現在のように4万円台がつくこともあるだろう。ただ、それは業績と金利といったファンダメンタルズ面からみれば、やや買われ過ぎの領域にあるということだ。
波乱含みの8月相場のスタートとなったが、これからは市場参加者も徐々に夏休みでマーケットを離れ、夏枯れムードも出始めるころだ。参院選、関税交渉の妥結、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀会合、そして米雇用統計と重要イベントを通過して、マーケットはやや「祭りの後」の倦怠感が漂っている。そうしたなか注目は海外勢の買いが続くかどうかだ。
東京証券取引所が7月31日に発表した7月第4週(22~25日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合計)によると、海外投資家は7月第4週に6,023億円買い越した。これで買い越しは17週連続で、この間の累計での買越額は6兆円超に上っている。
海外投資家の買越期間の長さは2012年11月から始まったアベノミクス相場初期の18週連続に迫っている。ただ、過去の海外投資家の売買を月毎にみると、8月は売り越すことが多かったというデータがある。記録的な外国人の買い越しが途切れるようだと、前述の通り、日経平均はファンダメンタルズ面からやや買われ過ぎといえるだけに短期的な調整のリスクも念頭に入れておくべきだろう。


