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7日に決算を発表するトヨタの業績に注目
前段で足元で第1四半期の決算発表が佳境を迎える日本企業の業績モメンタムが下向きだと述べたが、そうしたなか注目は自動車、特に7日に決算を発表するトヨタ自動車(7203)の業績だ。関税の影響も気になるところだが、それを抜きにしてシンプルに業績がいい。米国の7月の新車販売台数が先日発表されたがトヨタは約2割も伸びた。しかも値上げしても売れ行きが落ちない。
それもあって、トヨタは2025年の世界生産台数を約1,000万台とする計画を主要な部品メーカーへ伝えたと報じられている。前述のとおり、販売が好調のため年初時点の計画(約990万台)からやや上振れし、実現すれば、過去最高だった2023年実績(1,003万台)に迫る水準となるという。為替相場が大きく動くなか、トヨタの上方修正に期待がかかる。
その為替だが、雇用統計でドル安円高に反転するまでは、円安が進んでいた。その背景はFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派姿勢だった。
7月30日のFOMCでは5会合連続となる政策金利の据え置きを決めた。ボウマン金融監督担当副議長とウォラー理事は0.25%の利下げ実施を求めて反対票を投じた。32年ぶりの理事2人の反対は注目を浴びたが、この2人はトランプ大統領の息がかかった人物で、反対票を投じるのは想定内。
それよりも、あれだけトランプ大統領の恫喝ともいえる利下げ要求を受けながらも毅然とした態度を取り続けるパウエル議長の姿勢を市場はタカ派的ととらえたのだ。パウエル議長は特段、タカ派的なコメントをしたわけではないのだ。インフレに対する警戒感をとかなかったのはこれまでと同じである。それでも市場はトランプ氏の要求に少しは配慮をみせるかもしれないと思っていた節があったのだろう、そういう邪推を完全に退けたパウエル議長の姿勢に為替市場はドル高で応えたのだ。
その時点の市場の見方は、利下げは当分ないかもしれないというものに傾いたのだが、雇用統計で市場のムードは一変した。米国の景気の先行きに暗雲が立ち込め始め、雇用統計を受けて米債券市場では金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りが一時、前日比0.29%低い3.66%まで急低下した。いったんは後退したFRBの利下げが急速に織り込まれている。FRBの利下げ自体は米国株にとって追い風になるが、それで為替が円高に振れれば日本株には重石となる。
しかし、それほど円高にはならないのではないかとみている。日米の金融政策の方向は逆だが利下げ・利上げを進めるペースがそれほど速くないだろうという見立てがひとつ。
そしてもうひとつの理由は通商交渉で決まった米国への投資だ。日本は5,500億ドルの投資を約束した。それに続いて韓国は3500億ドルの投資を約束した。併せて9,000億ドルの投資が今後実行される運びだ。この内訳は「投資」「融資」「融資保証」にわかれ、実際には融資の部分が大きいとされるがまだ全容はわかっていない。
しかし、いずれにせよ巨額のドル・ファンディングの需要が出るのはほぼ間違いないだろう。それが直近見られたドルの底堅さにつながっていたのではないかと思われる。そして、この構図はまだこれから徐々に明らかになってくるので相場には完全に織り込まれていないドル高要因だろう。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
※本記事はマネックス証券 チーフ・ストラテジスト広木隆氏のストラテジーレポート『日経平均4万円はファンダメンタルズ面からやや買われ過ぎ 上値追いには業績モメンタムの向上が必要』を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。
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