多様性の時代だから個性を尊重してください…客先にも“ビーサン”で往訪の「自由すぎる部下」に唖然。逆パワハラに悩む上司を救う〈3つの対処法〉とは

多様性の時代だから個性を尊重してください…客先にも“ビーサン”で往訪の「自由すぎる部下」に唖然。逆パワハラに悩む上司を救う〈3つの対処法〉とは

今、部下からの「逆パワハラ」に悩む上司が増えているといいます。会社の中で弱い立場であることをいいことに上司を悩ませる、いわゆる「モンスター社員(部下)」に対して、どのように対処していけばよいのでしょうか。本記事では、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集して、部下からの逆パワハラに悩む上司におすすめの「3つの対処法」について、具体的に解説します。

b. 境界線をつくる

1. 自分と部下の「生きてきた時代」が違うこと、価値観は違って当然であることを前提とする

部下は「個性を活かせ」「才能を伸ばせ」といわれて育ちました。もし、あなたの仕事の価値観(実直・生真面目等)を肯定できない世の中になっていると感じたのであれば、それは単にいまの時代に合っていないだけと捉えてください。

 

「今昔」を比べて、自らを低く見立ててはいけません。以前は、テクノロジーやコミュニケーション手段が限られていました。課題に対するソリューションも限られていました。それゆえに発揮すべき(求められる)能力やスタンス(価値観)が、いまの時代と異なっているのは当たり前です。

 

「生真面目さや実直であること」を理由にして、過去の自らのスタンスを貶める必要はありません。卑屈になる必要もありません。

 

2.多様性が重視されるほど「ルール(規律・規範等)」と「ゴールの共有化」が何より重要になる

成果で評価されることを主張する部下ですが、態度や見た目で損をすることも理解してもらいましょう。「別の視点で考えたいんだが……」といっていま必要なことがなにかを考えさせてみましょう。このケースでは会社の服務規律を利用してみてください。

 

大切なのは「判断の基準を外側にもっていく」(攻撃の矛先を「自分にしない」)ということです。

 

服務規律とは、組織や企業が従業員に対して定める行動基準やマナー、勤務に関するルールです。その指標に照らし合わせて、いま、目の前の部下の言動が、「個性として尊重すべき類のものなのか」それとも「単なるわがままなのか」をチェックしてください。

 

ここでは、3つの資質(規律性、責任性、協調性)を言語化しながら折り合いの接点を探ってみましょう。

 

①規律性

・社内ルールに従って適切に言動を選択しているか

・社内の風紀、秩序を乱すような言動、行動はなかったか

・言葉遣い、服装、挨拶、態度、マナーはきちんとできているか等

 

そのうえでこのように助言しましょう

 

●まず褒める

:「あなたの〇〇なところ(例:独自の着眼、発想)はとても素晴らしいし、チームにも良い影響を与えていると思います。ただし……」

 

●次にわがままに映ってしまう行動への気づきを促す

:「メンバーへの配慮が欠けることで、自分の良さが逆に伝わりにくくなっているかもしれないよ」

「たとえば服装については、状況に応じて考えよう。服務規定では、営業職はスーツと決まっているけど、必要なければ撤廃してもよいよね、でも、カジュアルな服装が不快感を与え、結果として受注に悪影響を及ぼす可能性がある、というのであれば、規則通りにしよう」

「会社への信頼感が優先される場面があるんだ、そこは社会人として弁えてほしいな」等です。

 

服装以外の振る舞いの例も次にあげておきます。

 

②責任性

・困難な状況でも粘り強く最後までやり遂げたか

・安易に決定を先延ばしにし、自己責任を不明確にすることはないか

・仕事を進めるにあたって連絡・報告を怠ることはないか等

 

そのうえでこのように助言しましょう

 

●まず褒める

:「あなたの〇〇なところ(例:変化適応力や変革性)はとても素晴らしいし、チームにも良い影響を与えていると思います。ただし……」

 

●次に自分の役割の重要性を認識させる

:「周りが見えなくなってしまうことがあるかもね。割りあてられた役割を全うしてもらえると、皆の仕事がスムーズに進みます。頼りにしていますよ」

「……とはいえ、技術革新等により、市場原理や競争ルールが変わることもあるよね。状況に応じて、業務や役割のチェジが必要な場合は、おっしゃってくださいね」

 

という具合です。

 

③協調性

・意にそぐわないことでも、組織として決めたことに取り組んでいるか

・他部門ともよく協力して事に当っていたか

・利己的な言動、行動はなかったか等

 

そのうえでこのように助言しましょう

 

●まず褒める

:「あなたの〇〇なところ(例:果断性や突破力)はとても素晴らしいし、チームにも良い影響を与えていると思います。ただし……」

 

●次にチームとの協力の重要性を伝える

「チーム全体で成果を出すためには、皆が協力し合うことが不可欠だよね。全体の意見を取り入れることで、もっと良い結果が出せると思うよ」

「とはいえ、意思決定のスピードが大切な局面もありますよね。単独で動かなければいけない緊急度の高い事案についてはご一報くださいね」

 

〈ポイント〉

◆ルールやマナーは守らせることが大切です。ポイントは、「自由」と「責任」のバランスを取らせ、好き勝手にはさせないことです。「意見は歓迎するが、リスペクトは必要」と伝える、「この範囲は自由にやってOK、でもここは守って」と境界を明確にします。

 

◆派手な部下はやりにくい、はあるかもしれませんが、まずは、このように、外側の基準を利用しながら一つひとつ、説明していくことを心掛けましょう。部下と組織の価値観は違うというロジカルな境界線を引いていきます。

 

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※本連載は、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋

部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋

加藤 京子

日本能率協会マネジメントセンター

上司たちに共通する「逆パワハラの実情」を知り、「部下からの逆パワハラが怖くて何もいえない」と思ったときの処方箋を提示する一冊 「パワハラ」と聞くと、上司から部下へのベクトルを想像する。 しかしながら昨今、かつ…

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