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米をつくればつくるほど借金が増える?
この状況を知った社長さんが「このままではまずい」ということで、わが家まで出向いてくださり、経営状況についてヒアリングしたり、状況改善のためにさまざまなアドバイスをしたりしてくださいました。そして、社長さんのヒアリングやアドバイスを受ける際には父も立ち会い、一緒に話を聞いていました。
僕自身はわが家の状況をまったく知らなかったのですが、よくよく父の話を聞いてみると、衝撃の事実がわかりました。このまま農業を続けても赤字となるばかりで、続ければ続けるほど借金が増えていくことは明白だというのです。
数年分の確定申告の書類などを引っ張り出してきて、現在の借金額やその返済状況を加味した上で、5年後にどのくらいの借金が残っているかを予測したものの、返済できる見通しはまったく立ちません。この状況では、来年は農業を続けられない(続けないほうがいい)、今年で終わりにしたほうがいいのでは、という話になりました。
この事実を知ったときに僕が思ったのは、ここまで継承されてきた農業をやめることで、小さな頃から見てきた風景や、じいちゃんが培ってきた稲作の技術が途絶えてしまうのは悲しい、ということでした。どうにか廃業を回避することはできないものかと考えるようになり、農業の現状についてきちんと調べてみることにしました。
そのなかでわかったのは、農業従事者は平均年齢が68歳ということ。若い世代の農業離れにより、高齢化が進んでいました。僕の地元でもその傾向は顕著で、高齢の農業従事者が多く、廃業する方も増えていました。このままいけば10年後には、わが家の近所で農業を続けられている人はほとんどいないのではないか、というような状況でした。
とはいえ、もしここで本当に廃業してしまったら、借金だけが残ります。農機具は買ってくれる方や業者さんが見つかると思うのですが、農地に関しては継ぎ手不足で、借りてくれる方も買ってくれる方も見つかりにくい状況。いつかまた米づくりがしたいと思っても、やり直すのはかなり厳しいことになるはずです。
今、使える設備がギリギリ残っているうちに、農業を継ぐ余地があるのではないか? いつからか僕はそう考えるようになりました。
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