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農業1年目の年収は「15万円」
農業を継ぐにあたって、いくつかの前提条件がありました。
まず、1年目の年収は15万円であること。どうしてこの数字が出てきたのかというと、それまでは毎年じいちゃんが、近くに住んでいる知人に農繁期限定でアルバイトをお願いしていて、アルバイトの報酬がおよそ15万円でした。僕が農業に従事することで労働力が確保できれば、アルバイトは雇わずに済むため、アルバイト代に回していたお金を僕の収入として考えることにしたのです。
また、販路を広げて、これまでよりも売上を上げられれば、その分の売上は僕の報酬にしてもいいことになりました。そこで販路拡大には、これまでの経験を活かせるSNSを駆使することにしました。近年、SNSで販路を拡大している農家さんは少しずつ増えてきています。
例えばまいひめおじさんは、熊本県で高糖度のトマト「まいひめ物語」や、そのトマトで添加物、着色料、保存料などを一切使用しないトマトジュースを、SNSを中心に販売しています。果物くらい糖度の高いトマトを使用した季節限定・本数限定のトマトジュースは1本6000円で販売されるのですが、即完売するそうです。僕が農業を始めた当初は、まいひめおじさんのSNSを参考にさせていただきました。
農業収入が少ないことから生活費を自分で稼ぐ必要があり、当初は家庭教師の準備を進めていました。ところが、SNSを始めた1カ月後には、本当にありがたいことに、約10万人の方にフォローしていただきました。広告や案件などによる収入が見込めるようになったことで、家庭教師の計画はストップさせて農業ビジネスに振り切ることを決めました。
2024年に関しては、補助金がもらえるようになったことも大きかったです。新規の農業従事者を支援する県の補助金(年75万円)と、6次産業化(※)の町の補助金(20万円)、合計95万円をいただきました。補助金は種類が豊富にあるのですが、条件が厳しいことも多く、世帯年収でフィルタリングされるものもあります。
なかには補助金を嫌う方もいます。町・県・国のお金、つまり国民のお金を使って農業をするのか、という厳しいお言葉をいただくこともあります。頼らずに済むのなら、本当にかっこいいと思います。しかし、わが家の場合は、補助金や助成金、交付金がなければ成り立たず、使えるものは使いながら頑張っていこうと考えています。
