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じいちゃんの米農家が赤字経営…根本原因は?
地元で家庭教師、そしてゆくゆくは学習塾を展開するという事業計画を立てていたのが2023年の秋だったのですが、同じ年の11月頃に、わが家の農業経営がピンチだという話が浮上してきました。この年の米や大豆の収穫をすべて終えたところ、売上が予想以上に少ないことが判明したのです。
実態として、そもそも農業での収入は年々減ってきていました。一番の理由は、じいちゃんの経営力の低さに問題があったことです。長年、農業を続けてきたじいちゃんですが、米をつくるのに必要な経費も、生産したことで入ってくる収入もきちんと把握できておらず、お金の管理がまったくできていませんでした。僕が「この売上はどのくらいなの?」とか、「これ、経費はどのくらいかかってる?」などと質問をしても、はっきりとした答えが返ってくることは一度もありませんでした。そのどんぶり勘定が、ギリギリの経営状況を招いていました。
また、2023年の生産量・売上が特に低かった理由については、カメムシの被害で米の等級(※)が落ちてしまったことが挙げられます。登録検査機関に所属する農産物検査員が、全国で統一された規格によって「1等級」「2等級」「3等級」「規格外」の4種類に格付けするのです。検査は、粒の歩留まり(精米したときにどれだけ重量が減ったか)や見た目に関する品質を見るものであり、味はあまり関係ありません。等級が高ければ価格は上がり、それだけ収入も増えます。
わが家はもともとギリギリ成り立っているかどうか、という状況で農業を続けていました。米の価格が下がってしまえば、その分だけ赤字に直結するので、これは大きなダメージでした。
カメムシの被害については、対策ができていればある程度防ぐことはできたはずなのですが、適切な対処ができていませんでした。というのも、じいちゃんの体力は目に見えて低下していて、特に2022年頃からは、動きたくても動けないような体になってきていたようです。僕が山形に戻ってきた頃には、農作業をこなせる体力が残っていない状態でした。そのため、近所の農家はどこもカメムシの被害を受けていたものの、わが家の被害は特に大きかったといえます。
ひと通りの収穫を終えた後、11月から12月にかけて、農作業に要したさまざまな請求が来るのですが、じいちゃんには、それらすべてを支払う余力がありませんでした。「このままじゃ、死ぬに死なんにがらよ(死ぬに死ねないから)」と父に頭を下げていたのですが、父から借りたお金だけでは間に合わず、生産物を卸す先である農業法人の社長さんにも借金をしなければならない状況でした。
