(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資にチャレンジする人が増えています。個別株の場合、購入はもちろん、売却のタイミングの判断がむずかしく、多くの方が悩むところでもあります。ここでは、初心者の方が迷いやすい「株の売買タイミング」の考え方を見ていきます。経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

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投資初心者が気をつけるべきは「売りの判断」

投資初心者は、自分で考えると間違えるので、毎月一定額の株式投資信託を積み立て投資し続けるのが安全だと思います。とはいえ「お小遣いでバクチを楽しみたい!」という場合には、「売りの判断」に気をつけましょう。

 

株は「買うタイミング」もむずかしいのですが、売るタイミングのほうがさらにむずかしいといわれています。株価が上がっているときは早く売りすぎ、損をしているときには売るべきときに売らず、損切りをし損ねてしまう…という投資初心者が多いのです。

 

株価が10倍になった銘柄は多数ありますし、投資初心者のなかにもそれらの銘柄を買った経験がある人は多いでしょう。しかし、多くの初心者は3割値上がりしたときに売ってしまったのではないでしょうか。3倍になるまで持っていた人は少ないと思います。

 

そもそも「株式投資は怖いもの」だと思っているため、少しでも値上がりすると「値下がりするかもしれないから、急いで売って利益を確定しよう」と考えるのでしょう。人間の脳は、儲かった喜びより損した悲しみを大きく感じるようにできているそうなので、せっかくの儲けを失う恐怖心のほうが、儲けが2倍になる期待より大きいのかもしれませんね。

本当なら「損切り」で売るべきところ、塩漬けに…!?

さらに問題なのは、株価が値下がりしたときに、本来は「損切り」で売るべきなのに売らずに持っている(塩漬けにしている)人が多いことです。「いま売ったら損失が確定してしまう。それは悔しいから、買値に戻るまで持っている」と考えているのでしょう。

 

実際、株価が暴落して元の水準に戻ると売り注文が増えてくることがあります。「やれやれ、これで損をせずにすんだ」と考えてホッとして売りに出す投資初心者の顔が思い浮かぶようです。

 

損の悲しみは大きいので、それを避けたいという気持ちはわかりますが、「こんな株を買った自分は愚かだった」と思うのが嫌で株価が戻るまで持っている、ということであれば、いかがなものかと思います(笑)。

利食いも損切りも本来は関係ないのだが…

本来は、株を売るか否かの判断は、買った値段とは関係ないのです。500円で買った株であれ、1,000円で買った株であれ、現在800円なのであれば、将来の株価が800円以上になりそうか否かで売るか否かを決めればよいのです。

 

本来は、毎朝株を全部売り、新しく買えばよいのです。売った株と同じ株を買う場合もあるでしょうが、違う株を買う場合もあるでしょう。そうすれば、買った値段に囚われずに正しい判断ができるはずです。実際に売り買いすると手数料がかかるので、「売ったつもりになるだけ」がよいとは思いますが。

「損切り」と「狼狽売り」は別のもの

株価が暴落したときに冷静さを失って「狼狽売り」をしてしまう投資初心者が多いのですが、冷静な判断として行なうべき「損切り」と狼狽売りはまったく異なります。株価が暴落したら、まず深呼吸して落ち着いて、冷静になってから判断しましょう。

 

「これ以上株価が下がったら生活に支障が出る」と考えて、仕方なく売るという人もいるようですが、それは投資規模が大きすぎたということです。そうならないように「株価がゼロになっても生活に支障が出ない範囲内でバクチを楽しむ」という出発点を大事にしましょう。

 

老後資金で投信の積立投資をしているときは、株価が暴落しても決して売らずに積立を続けましょう。いまの生活に支障が出るわけではなく、老後になるまでに株価が戻ればよいので、むしろ「今月の積立分は安い値段で買えてラッキー」と考えましょう。

 

過去の平均株価の長期間のグラフをじっくり眺めれば、過去に何度も暴落しているはずですが、そのたびに戻っています。「今回だけ戻らないワケはない」と信じて待てばよいのです。

 

バブルが過熱していてPERやPBRが異常に高いときなら、暴落が始まったら急いで売るという選択肢もありますが、昨今の株市場はそういう状況ではないので、冷静に判断しましょう。

暴落したときこそ、深呼吸して冷静な判断を

問題は、個別株が暴落した時に損切りをするか否かの判断です。「この会社は思っていたよりダメな会社だ」ということがわかったのならば、買った値段に関係なく「損切り」をするべきでしょう。もちろん、売る前に深呼吸して、自分が冷静であることを確認してからですが。

 

一方で、平均株価が暴落したことで持っている株も暴落した、という場合には、平均株価が戻れば持っている株も戻るでしょうから、売らずに持っていましょう。一時的な要因で損が出ている場合も、会社の将来性が明るいままならば、売らずに持っていましょう。

 

一般論としては、平均株価の暴落は「狼狽売りを避けて持ち続けるべき」、個別株の暴落は「塩漬けせずに損切りするべき」、という場合が多いようです。平均株価は市場の雰囲気に大きく左右されやすいですし、株価暴落時には「売りたくない売り」が出て来たりしますが、個別株の場合は市場の雰囲気で動くものではありませんし、「売りたくない売り」は出にくいですから。ちなみに、「売りたくない売り」については、拙稿『【トランプ関税】株価暴落の最終局面?「狼狽売りで大損する人」「暴落メカニズムを理解して乗り切れる人」【経済評論家が助言】』をご参照ください。

 

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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