将来の資産額に「大きな差が開く」可能性…若い時代に少額の株式投資信託を「買った人・買わなかった人」、投資機会の有無が人生に及ぼす影響【経済評論家が解説】

将来の資産額に「大きな差が開く」可能性…若い時代に少額の株式投資信託を「買った人・買わなかった人」、投資機会の有無が人生に及ぼす影響【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資産形成への関心が高まっています。しかし一方で、定年退職後に投資家デビューした人のなかには、冗談ではすまない損失を出し、途方に暮れている人も…。そのような事態を回避し、着実に資産形成を行うには、どうしたらいいのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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若いときから「投資に慣れ親しむ」メリット

「1万円でいいから株式投資信託を買おう」。学生や新入社員に向け、筆者はこのようにお勧めしています。

 

株式投資信託というのは、プロが大勢の投資家から少額の資金を集めて多くの株式を購入し、儲かっても損してもそのまま(手数料を差し引いて)投資家に返金する、というものです。1人で多くの銘柄の株式を買おうとすると、多額の資金が必要ですし、どの銘柄を買うのかを選ぶのも大変ですが、投資信託ならば少額の投資で多くの銘柄の株を買ったのと同様の効果がえられます。

 

筆者は、いまの学生や新入社員に「将来は投資信託の積立投資をやってほしい」と考えていますが、いまは投資する資金もそれほどないでしょうし、いきなり多額の投資をするのは怖いでしょうから、とりあえず1万円だけ投資してみて、「投資」というものに慣れ親しんでもらいたい、と考えているわけです。

 

1万円の投資であれば、失敗しても損失額は限られていますから、気楽に投資してもらうことが可能でしょうし、損をしても筆者が恨まれることもないでしょう(笑)。

 

ちなみに、将来は投資信託の積立投資をやってほしいと考える理由については、拙稿『株式投資、やっぱりコワい…投資デビューをためらう人へ、経済評論家が「インデックス投信の積み立て」を推す明確な理由』をご参照ください。

5万円の投資が、米国経済への理解を深めたワケ

1万円の投資信託を持っていると、投資に親しみがわくと同時に、経済に興味がわくことが期待できます。たった1万円でも「今日は株価が上がったかな」と気になって、経済ニュースを覗き込む頻度が高まるでしょう。

 

そのうちに「どうして株価が上がった(下がった)のか」を知りたくなるかもしれません。そうなれば、広く経済ニュースを読むようになるかもしれません。それは、就職活動や顧客との会話等に大いに役立つかもしれません。

 

じつは、筆者自身、少額の株を買ったことで、経済への興味が増した経験があるのです。米国留学中、英語は教科書だけで英字新聞は読んでいなかったので、米国経済がどうなっているか知らずにいました。しかし、5万円分の米国株を買ったとたん、米国の株価の推移が気になり、株価を変動させている経済の様子が気になり、頻繁に経済新聞を読むようになったのです。

 

元手が小さいので、儲かっても損しても大したことはないのですが、英語も上達し、米国経済にもくわしくなったわけですから、5万円の投資は大成功だったと思っています。そして、多くの若者に同様の経験をしてほしいと考えているのです。

株価変動の不合理を身をもって学べる、とてもいい方法

株価の変動は、時として不規則で不合理です。しかし投資初心者は、株価が合理的に動くと考えがちであり、理屈から株価を予想しようとして失敗することが少なくありません。また、株価が暴落すると冷静さを失って狼狽売りをしてしまう場合も多いようです。

 

多額に投資するようになってから、上記のような失敗をすると手痛い損失を被りかねません。そんな事態を回避するには、1万円の残高で毎日株価を眺めていることが有益です。1万円なら、暴落しても狼狽売りをせずに済みそうですし。

 

株価が時として理屈に合わない動きをすること、時として暴落するけれども時間が経てば戻ること、などを体感しておくと、多額に投資するようになってからの判断ミスを減らすことができるはずです。

 

株価の動きが必ずしも合理的でない主因は「美人投票」だからです。これはケインズの教えで、「皆が上がると思うと皆が買い注文を出すから実際に上がる。したがって、株の短期売買で儲けようと思ったら、真実を知ることよりも人々の噂に耳を傾けたほうがいい」というものです。美人投票について、詳しくは拙稿『ケインズの名言「株価は美人投票」は真理だが…信じてはいけない投資局面とは【経済評論家が助言】』をご覧ください。

 

株価の暴落については、平均株価の過去数十年のグラフを眺めるだけでも「過去に何度も暴落したが、戻っている。今回だけ戻らないと考える理由はない」ということに気付けるのでしょうが、実際の暴落時に毎日株価を眺めているほうが、はるかに実感をもって暴落時の状況が理解できるでしょう。株価の暴落について、詳しくは拙稿『【トランプ関税】株価暴落の最終局面?「狼狽売りで大損する人」「暴落メカニズムを理解して乗り切れる人」【経済評論家が助言】』をご覧ください。

「投資を始めるタイミング」を失わないで

1万円の投資信託を買うためには、金融機関に口座を持つ必要がありますし、投資信託を買う手続きも必要です。その手続きをいまのうちに行なっておくことが、将来本格的に投資を始めるときのハードルを下げるかもしれません。

 

本格的な投資を始めようと思っても、「損をするのは嫌だ」という気持ちがあると気が進まず、「手続きが面倒だから、暇になったら始めよう」と先延ばしにしてしまう可能性があります。

 

そう考えると「すでに残高が1万円あるのだから、それを増やせばいいだけだ」という状態にしておくことに、意外と大きな意味があるかもしれませんよ。

 

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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