(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資にはリスクが付きもの。しかし投資信託の積み立て投資なら、大損するリスクを最小限に堅実な資産形成が可能です。投資信託にチャレンジしたい投資初心者の心得を、自身も投資歴が長い経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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「多くの株を少しずつ持つ」というリスク軽減策

株式投資にはリスクがありますが「投資信託の積み立て投資」なら、多くの株を少しずつ持つ効果があるため、大損をするリスクは小さいでしょう。値上がりする株、値下がりする株があっても、毎月一定額を買えば、安いときも高いときも買うことになるからです。大儲けはむずかしいでしょうが、大損する可能性が少ないなら、そこはよしと考えましょう。

 

重要なのは、株式投資は期待値として(確率的にいえば)儲かる、ということです。世界中の上場企業の利益を長期間にわたって平均すればプラスだから、世界全体の株を平均すれば「適正株価」は上昇していきます。株価は適正株価の周囲で上がったり下がったりしますから、長期的にみれば「適正株価が上がっていけば、株価も上がっていく」と考えてよいでしょう。

割高な月は少し買い、割安な月は多めに買う

毎月一定額を積み立てるというルールで問題ないのですが、一工夫してみましょう。平均株価のPERの平均が過去10年の平均より高い月は積み立て額を減らし、低い月は積み立て額を増やすのです。そうすれば、割高な月は少ししか買わず、割安な月は多めに買うことができるでしょう。

 

日本株の投信なら、日経平均株価かTOPIXのPERを使えばよいでしょうが、たとえば小型株ファンドの積み立てであれば、東証の小型株指数と比較する、といった工夫は必要かもしれませんね。

 

理屈は上記のとおりなのですが、実際には過去10年のPERの平均を毎月計算するのは大変なので、もっと手軽な方法を検討してみましょう。それは、資産残高の目標金額を設定するのです。

 

毎月1万円ずつ積み立てて、毎月資産が1万円増えることを目標にするとすれば、たとえば1年後に資産が12万円を超えているか否かを見るのです。そして、12万円を超えている月は投資をしない代わりに、12万円を割り込んでいる月は2万円投資する、というルールを定めるのです。

 

いまの株価が過去1年間の株価の平均より高ければ、資産額が12万円より多いでしょうから、休むことにするのです。反対に、資産額が12万円より少ないということは、いまの株価が過去1年の平均より低いはずですから、多く買うのです。

 

肝心なのは、積み立てを休んだときにその分を使ってしまわない、ということです。いつか2倍積み立てる必要が生じるであろうことを忘れずに、そのときに備えてしっかり取り分けておきましょう。

 

少し欲張るとすれば、1年後の資産額が12万円の1.1倍より多ければ休み、少なければ2倍積み立てる、といった設定も要検討です。株価が緩やかに上がっていくことを前提とした資産形成を心がけるわけです。これなら、積み立てを休む月が減るでしょうから、「積み立てを休んだ分を使ってしまった」というリスクを減らすことが可能なはずです。

 

積み立て投資のメリットのひとつに「初心者は自分で判断すると間違えるから、あらかじめ決めたルールに沿って淡々と積み立てを続けるとよい」というものがあります。これは、株価が暴落した際にこそ重要になってきます。

 

暴落すると、怖くなって積み立てをやめてしまう人が多いのですが、そういう人ほど、あとから株価が戻って後悔することになりがちです。過去数十年の平均株価のグラフを見ると、いかに後悔した人が多かったか、想像できますね(笑)。

 

積み立てを止めるのではなく、暴落したときは2倍額を積み立てるのです。そうすれば、あとから振り返って「いちばん安かった時期に普段の2倍の額を積み立てることができて、本当によかった!」と思える可能性が高いのですから。

 

暴落して売りたいときに2倍積み立てるというのは、意志の力を要しますが、頑張ってみましょう。

老後の取り崩しも資産残高の目標額で

老後に投資信託を取り崩すときも、資産残高の目標値を設定しておく事は有効です。投資信託が360万円あるとして、老後30年間で毎月1万円ずつ取り崩していく、という計画を立てるとしましょう。加えて預金を2万円ずつ引き出すとすれば、年金プラス3万円の暮らしという事になりますね。

 

取り崩しを始めて1年経った段階で、資産額が348万円であれば、その時の株価が取り崩し始めた時の株価と同じ水準だ、ということになります。したがって、資産額が348万円より多ければ、投資信託を2万円取り崩し、預金の取り崩しを1万円に抑えます。348万円より少なければ、投資信託の取り崩しを休み、預金を3万円取り崩せばよいのです。そうすれば、高いときに多く売り、安いときに少なく売ることになりますから。

 

以下は、頭の体操です。積み立てを終えたときがバブルのピークだったら、なにが起きるでしょうか? 問題ありません。最後の数年間は株価が暴騰しているでしょうから、積み立てせずに預金が積み上がっているはずです。取り崩し開始後は、株価が暴落しているので投信の取り崩しをせず、預金を多めに取り崩せばよいのです。

 

投信の積み立て投資については、拙稿『株式投資、やっぱりコワい…投資デビューをためらう人へ、経済評論家が「インデックス投信の積み立て」を推す納得のワケ』を併せてご覧いただければ幸いです。

 

本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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