検索
ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中！
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)＋ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)＋ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)＋ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ！
退職金で資産運用を始めたものの…
「ようやく、ここまで来た――」
Aさん（65歳）は、退職の日に静かにそう呟きました。長年勤め上げた会社を退職し、手にしたのは退職金4,000万円。もともと保有していた金融資産とあわせて、合計でちょうど1億円。
「ついに、富裕層の仲間入りだ」
ささやかな誇りと、これからの人生への期待で胸いっぱいのAさんは、本格的な資産運用を考えるように。「定年後もお金が働き続けてくれる仕組みを作りたい」そんな思いから、証券口座の開設や運用方針の見直しに着手。しかしその矢先に、あるニュースが目に飛び込んできました。
証券口座での不正取引の報道。ログイン情報がウィルスで盗み取られたとのこと……。
「やはり自分一人で管理するのは難しい。信頼できる担当者がいれば心強いのではないか」と考えはじめたAさんは、ネットや知人を頼りに、信頼できると評判の資産運用アドバイザーを紹介してもらうことに。
「海外でも活躍しているすご腕で、富裕層専門らしいよ。俺もAみたいに資産があればなあ」友人からの評判は上々。ひょっとしたら“隠れたお宝商品”を紹介してもらえるかもしれないと期待が高まります。なにしろ初めての投資。しかも退職金を含め、人生の大半の資産を投入するのだから、誰だって専門家の力を借りたくなるものでしょう。
初回の面談は丁寧で好印象でした。資産状況や家族構成、将来の希望などを熱心にヒアリングされ、「ライフプランに合った最適な提案をしたい」とのこと。
「この人に任せてみようか――」そんな気持ちが自然と芽生えていきました。
ところが、やりとりを重ねるうちに、Aさんの心に少しずつ引っかかるものが増えていきます。たとえば、ポートフォリオの話になると「それよりもっと効率のいい方法がありますよ」と、説明をすぐに遮ってくること。さらに、「今月末までに動かせば特別条件で入れます」「いまが本当にチャンスなんです」と、やたら“いますぐ”を強調してくる姿勢にも、どこか落ち着かない気持ちが残りました。
